中央アジアの石油戦略・テッド・ロール

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投稿者 dembo 日時 2001 年 10 月 23 日 08:45:27:

中央アジアの石油戦略

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     中央アジアの石油戦略は、新しいビッグ・ゲームだ
     テッド・ロール、オルターネット、2001年10月11日

                            (別処珠樹・訳)

 ナザルバエフNursultanNazarbayevはきわめて大きな問題を抱え
 ています。彼は、旧ソ連で二番目に広い面積をもつカザフスタン共
 和国の大統領で、同国共産党の前党首でもあります。数年前、この
 広大な国がカスピ海の東で石油を掘り当てました。カザフスタンの
 風に吹かれる大草原の下に500億バレルの油田が眠っていると
 地質学者は推測しています。埋蔵量は世界最大です(世界最大の
 産油国サウジアラビアは約300億バレルの埋蔵量を残していると
 考えられます)。

 旧ソ連に支えられていたカザフスタン経済は、1991年の独立直後
 に崩壊しました。当時の首都アルマティAlmatyを1997年に訪問
した時、私は老人がまったくいないことに気付きました。人々が次々
 と打ち明けてくれたのによると、1993年・1994年の冬、親たちは
 悲惨にも栄養失調で死んでしまったそうです。この広い国にすむ中
 流階級の人たちは、ほんとうに一夜で極貧におちいりました。(中略)

 社会が下降線を描いている時には、専制君主がおかしな死に方を
 することが多いものです。それを避けるためには経済を上向きにす
 る必要がありますので、内陸部の石油をなんとか海に出そうとして、
 ナザルバエフは十年を費やしました。もしも石油が外にむけて流れ
 始めれば、高級車のベンツや、きんきらの宝石類が溢れるクウェート
 にカザフスタンが取ってかわるまで、それほど時間はかかりません。

 ただ、パイプラインは長ければ長いほど破壊されやすいですし、また
 破壊から守るのに大きな費用がかかります。海まで最短距離はイラ
 ンを通るルートですが、カザフスタンとしては米国ときわめて緊密に
 連携しているため、テヘランと取り引きしてアメリカを立腹させるわけ
 にいきません。ロシアは、カザフ油田の掘削装置を黒海に接続する
 ラインを構築する手助けをしようと申し出ました。しかし、隣のトルク
 メニスタンはロシア人とのもめごとを経験してこりています。ロシア人
 は代価を払わず、自分たちで原油を使ってしまう可能性があるから
 です。中国経由で原油を出すという計画もありますが、5300マイル
 (8500キロ)の提案は長すぎて、実用的ではありません。

 そうすると、論理的に可能な代案はアメリカ・ユノカル社Unocalの
計画です。トルクメニスタンにあるパイプラインを西に、カスピ海に接
 するカザフスタンの草原まで延ばし、パイプのもう一方はアラビア海
 に面するパキスタンのカラチ港まで延ばす計画です。この計画では
 パイプラインがアフガニスタンを通ります。

 中央アジア専門家アフメド・ラシッドAhmedRashidの本『タリバン』
(2000年)に書かれているように、1994年ごろアメリカとパキスタン
 は、アフガニスタンに安定政権を樹立することにしました――国内の
 内戦を終わらせ、ユノカル社のパイプライン計画の安全性を保証する
 政権です。
     
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
『中央アジアの石油戦略』テッド・ロールの原文

http://www.alternet.org/story.html?StoryID=11692


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