投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 10 月 17 日 19:39:30:
米空爆、ラディン“爆殺”に照準
ピンポイントで狙う
米軍のアフガニスタン空爆は17日未明も引き続き行われたが、その規模は日増しに激しさを増している。すでに、米軍は主要攻撃目標を都市の軍事施設からタリバン軍本隊に移動。対ゲリラ戦の切り札「AC130攻撃機」=写真=を投入し、黒幕ウサマ・ビンラーディン(44)とテロ組織「アル・カイーダ」、さらにはオマル師らタリバン要人そのものを目標とした爆殺作戦を展開している。
米軍は17日未明に首都カブールを空爆。目撃者の話では市中心部で大規模な爆発が2回起こったという。16日には攻撃機50機、爆撃機10機などを出撃させ、カブール、タリバン本拠地のカンダハル、北部同盟が攻勢をかけている北部の要衝マザリシャリフなどを空爆、7日の空爆開始以来最大規模の攻撃を加えた。
とりわけ集中的な空爆を行ったカンダハルには、空軍特殊部隊所属のAC130攻撃機が前日に続いて参加。低空からタリバン部隊を直接攻撃したもようだ。
AC130は航空自衛隊も配備している輸送機C130を改造、機体左側面に毎分2500発の発射能力がある25ミリガトリング砲、40ミリ砲、105ミリりゅう弾砲を搭載した対地攻撃機。主に夜間、暗視装置を使用し、低空を旋回しながら地上の標的を攻撃する。ベトナム戦争で初登場し、99年のユーゴスラビア空爆でもNATO軍が使用した。その火力は絶大で、対ゲリラ戦や地上部隊支援の切り札として使われるガンシップとして知られるている。
プロペラ機のため最高速度が時速約580キロと遅く、攻撃時には低空を飛行するため、タリバンが保有している携行対空ミサイル「スティンガー」など対空砲火の標的になりやすいのが弱点で、ベトナム戦争以来8機が撃墜されている。
今回はこれまでの空爆でタリバンの防空能力がほとんど排除されたことで投入に踏み切った。タリバン部隊への直接攻撃はもちろん、ラディンを含めたアル・カイーダ幹部やオマル師らタリバン要人の爆殺を視野に入れたものであるのは間違いなく、「もはや、タリバンとは話し合う余地がない」とする米側の強硬な姿勢を裏付けるものだ。
一方、タリバンと北部同盟によるマザリシャリフ攻防戦では、攻勢を強める北部同盟が市の中心地から約6キロの地点にある空港周辺でタリバンと戦闘を行っており、すでに同市の3地域をタリバンから奪ったという。北部同盟側は、「2日以内に攻略できる」と自信を見せている。
米軍も地上軍投入に備え、パキスタンに対しアラビア海沿岸のガワダル海軍基地の使用許可を要請。パキスタンは「基地提供は後方支援目的に限られる」と強調しているが、実際は攻撃目的の使用でも秘密合意している可能性が高い。米軍は同基地から特殊部隊を上陸させてアフガン国境地帯に待機、攻撃に備えたい意向で、対アフガン軍事行動はいよいよ第2ステージに突入した。
ZAKZAK 2001/10/17