投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 07 日 15:15:56:
極端なイスラム原理主義を堅持するアフガニスタン・タリバーン政権に退陣を迫る国際的な圧力が強まる中、同政権下で宗教的な取り締まりを通じて、支配体制を末端で支えてきた宗教警察官らが、避難民としてパキスタン側に逃れてきている。2人の元警察官が、朝日新聞記者に対し、その実態を証言した。
7日前に家族11人とペシャワルに入った元宗教警察官のアクバル・シャーさん(48)は、アフガンの首都カブールを車や徒歩で巡回し、女性のブルカと呼ばれる布と男性のヒゲの違反者を見つけては牛革製の棒で殴り、刑務所に送ることが仕事だった。
タリバーンの厳しい宗教規則によると、女性は外出時、ブルカで全身を隠し、目の部分は網で覆う。男性は「預言者マホメットにならって」ヒゲを蓄え、原則的にそることは許されない。
1日に最低でも数十人、多い日は100人以上を殴ったという。「殴ることが仕事。ヒゲを少しでもそれば3日間、長いヒゲを短くすれば10日間、あなたのようにヒゲがない者は、30日間は刑務所に入れた」
山岳地帯を8日間家族とさまよった末、2日前にペシャワルに着いたムハマド・ラーさん(40)は、東部ナンガハル州の宗教警察の地区主任で、違反で捕まった人の刑期を決める仕事だった。連日数百人の「犯罪者」を裁いたという。
タリバーン上層部が、禁止事項や罰則について、オマール師の布告として度々変更するため、ここ1、2年は覚えきれないほど煩雑になっているという。
取り締まりでは市場や交差点など人込みを狙った。「罪人を刑務所に入れると国際赤十字から4米ドル相当の補助が出ると説明された。上からはできるだけ多く捕まえて長く拘留し、金をプールしろと指示があった」と話した。
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2人のような最低限の生活を保障された公務員ですら避難民となって山を越えてパキスタンに逃げ込んでいるのは、米国の軍事攻撃の可能性が強まったのに伴い、タリバーンによる強制徴兵から逃れるためと見られる。
シャーさんは、21歳の一人息子に先月20日ごろ、徴兵令が下った時点で国外脱出を決めた。一方、ラーさんの17歳と20歳の2人の息子は、徴兵令を拒否して、1人につき100万アフガニー(約1500円)の罰金を払ったが、先月末に軍人に自宅に踏み込まれ、どこかへ連行されてしまったという。
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コーランに反する行為を取り締まる宗教警察は多くのイスラム国家に存在する。だが、タリバーンの特異な実施方法は厳格で独特な宗教的解釈に基づくと言われる。
あまりにも特殊で、イスラム諸国との間でも物議を醸す場合もある。昨年、公の場で半そでや短パン姿でサッカーをしたパキスタンのサッカー選手が逮捕された事件が起きた。今年に入ってイスラムの教えに反する情報から身を守るとの理由でインターネットのアクセスを禁じた。(13:48)