投稿者 dembo 日時 2001 年 10 月 06 日 12:46:33:
なぜそこにテロリストがいるのか?
http://mion.wisnet.ne.jp/world/af/af007.htm#10121 より抜粋
アフガニスタンの問題で徹底的に不条理なのは、そのテロ訓練基地ってアメリカ自身が作って、アメリカ自身が反政府ゲリラを組織、訓練してきた、っていう事実。
日本の外務省の公式ページにも書いてあるから、 ひらいてみてほしい。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/afghanistan/genjo.html#1
[テロに関しては、ソ連軍駐留時代に米CIAによって建設されたゲリラ訓練施設が現在も存在すると言われ、これがアフガニスタン国外におけるテロ事件に結びついている、との指摘があります。98年8月に米軍がアフガニスタン国内を攻撃した際の目標も、これらの施設であり、国際的テロリストとされているオサマ・ビン・ラーディン氏が運営していると言われています]
いいかい、よく読んでごらん――「米CIAによって建設されたゲリラ訓練施設」が現在も存在する。「米軍がアフガニスタン国内を攻撃した際の目標」は、これらの施設なんだ。と。アメリカが自分で作った基地、自分で育てたゲリラを、アメリカは今、非難している。自分で作った基地をみて「テロ基地は許せない」とそこにミサイルを撃ち込む。なんなんだ? ――君が道を歩いていると、警官が近づいてきて「すいません、ちょっとこれ持っていてくれませんか」と荷物を渡す。「なんだろう」と思って、とりあえず受け取ると、そのとたん「銃器不法所持で逮捕する!」と手錠をかけられる。極論すれば、そういうこと。
アメリカ側、CIAサイトを見ても、
http://www.odci.gov/cia/publications/factbook/geos/af.html
「mujahidin forces supplied and trained by the US, Saudi Arabia, Pakistan, and others」と書いてある。
ムジャヒディーン(ジハッド=聖戦を戦うゲリラ。アラビア語でジハッドの動名詞がムジャヒド)を援助し、軍事訓練して組織してきたのは、ほかならぬアメリカ合衆国なわけで、アフガニスタンが共産政権だったときには、アメリカはイスラム原理主義者の反政府ゲリラを全面的に支援していた……オサマ・ビン・ラディンなんかは「聖戦」の旗印、英雄だったはずだ。それが、ソ連を追い払うという目的を達成しちゃったら、あとは捨てるだけ、というより、てのひらを返したように「テロの黒幕、極悪人」扱い。それだけなら「ひでえ態度だなぁ」という心理的な問題で済むけど、現実には、ゲリラたちに渡した何兆円だか相当の武器でどんどん内戦が泥沼化し、殺人や蛮行が広がり、アメリカが訓練したゲリラたちがアフガニスタン以外のところでもあれこれ始めて、どうしてくれるの? 全部アメリカ自身がまいたタネだぜ。つーか、その何兆円のばらまきっていうのは、ゲリラに対する武器援助うんぬんもさることながら、アメリカやその衛星国の軍需産業にとっちゃ……ねえ。
もちろん、ロシアだってアフガニスタン自身だって、たいていの国は、裏では、それなりに後ろ暗いことをしているとは思う。けど、アメリカっていうのは、とにかくアグレッシブ――それがアメリカの良いところでもあるんだけど、政治の表舞台の裏では核施設攻撃をホンキで検討>してたり、自分がまき散らした武器をやっぱり買い戻そうと闇市場に参加したり、やることが荒っぽいというか大ワザ。敵がジャングルを隠れみのにしてると思えば、植物を枯れさせればいいのだな、と枯れ葉剤を大量散布するとかさ。アフガニスタンにも、そこに容疑者(とアメリカが言い張っている相手)が住んでいるというだけの理由で、巡航ミサイルを79発も撃ち込んでくれたし。そのくせ、アメリカの最新鋭軍艦は、ゴムボートに攻撃されて、沈没しかかってやんの。「ゴミ回収船が来たと思って気にしてなかったら、敵だった」とは、まあ、のんきというか、おおようというか。細かいことにこだわらないのはアメリカの美点だったりもするんだけど
アメリカがテロうんぬんで非難している「タリバン」こそが、むしろムジャヒディーン諸派の内ゲバや市民への蛮行をやめさせた、という歴史的事実を忘れちゃいけない。タリバン兵士だって実際には、いろいろ荒っぽいことをやってるに違いないが、アメリカがほのめかすような「タリバンは悪で反タリバンは善」なんて、とんでもねえ。テレビの怪獣アニメじゃあるまいし。アメリカは正義の味方のヒーローってか。
なお、この記事には、意図的に極論に近い書き方をしている部分もあります。論点を明確にするため、アメリカやロシアの大国が一方的に悪いみたいに書いてしまいましたが、大国を非難する趣旨じゃなく、とにかく関心をもってもらいたいってこと。島国ローカルのメディアが、ひとことも触れない世界のいろいろなことに。