投稿者 dembo 日時 2001 年 10 月 06 日 07:42:35:
「テロを歓迎するパレスチナ人の映像」問題について
ベルリンの梶村です。メディアには、ようやく「ドイツらしい」丁寧な分析や議論が目立つようになりました。週末には、ベルリン、ミュンヘン、フランクフルト、ケルンなどで反戦のデモがありました。
問題になった「テロを歓迎するパレスチナ人の映像」ですが、ドイツのメディアでも話題になっています。22日付けのフランクフルター・ルントシャウ紙が、この映像をテーマに取り上げた週刊誌「シュテルン」と第一公共放送系列のNDR局のTV報道番組「パノラマ」(20日夜放映)について、概略次の様な記事を載せています。
「シュテルン誌の報道によれば、カメラに向かって歓喜している女性は、そうすれば大好物のクナフェーというお菓子をもらえるとカメラマンに言われてやった、夜、テレビを見て恥ずかしくなった、世界の人々は、私がファナティックなイスラム教徒で、テロを喜んでいるとでも思っているのでしょうねと、同誌に語ったという。
パノラマによれば、問題の映像はCNN の制作ではなく、また1991年のものでもなく、ロイターと、あるフリーのテレビチームが9月11日に東エルサレムのダマスクス門前で撮影、それがAssociated Press Television News APTNの提供で世界
中に流れた。同番組は、真実かそれとも演出かと問い、この映像の真偽を疑うのではないが、その場の雰囲気が誰かによりたきつけられたものかもしれないと問うてみる必要はある、とする。APTN提供の元のフィルムは全体で4分、放映されたのはその内の20秒のみ。画面の取捨選択もジャーナリストの仕事の一部だ、子供たちはカメラの前では特に興奮するものだ、論議を呼ぶことが分かっているものを映した映像はいつだって関心をもたれる、本物であろうと演出されていようと、あるいは買われたものであろうと。パノラマはまさにこの点を問題にしたかったのだと同番組のキャスターは述べた。テレビの中の現実はいずれにしろ構成されたものだ。」
私はこの番組の後半を見ただけですが、APTNの映像を見ることは出来ました。少年たちが躍り上がって喜んでいる場面は、実は人々が普通に往来する路上で数人の少年がパレスティナの旗を手にはしゃいでいる一連の場面の一部であり、少年たちの傍らで一人の男性(過日流された映像には映っていない)が手拍子をとっています。この男性が何者なのかは見ていて大いに気になりました。また件の女性は、カメラに向かって手を上げ何かわめいた後、照れたように手を振ってカメラから遠ざかっていきました。少年たちの背景の通行人たちが少年たちには一切無関心なまま通り過ぎていったのが、カットされた映像を見ていた私には印象的でした。いずれにしろ映像全体は、「パレスティナの人々が、ニューヨークでのテロの報道に湧いている」という、世界に流された映像のナレーションとはかけ離れたものでした。
http://www.jade.dti.ne.jp/%7Ejpj/jp-CNNberlin010925.html
http://www.jade.dti.ne.jp/%7Ejpj/