投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 10 月 04 日 18:25:41:
10/04 16:08 敵は個人でなく思想 「報復が報復招く」 外信94
共同
イスラム原理主義勢力の一大拠点だったエジプト南部のアシュー
ト大学から同勢力の排除に成功したハッサン・バクル東京外国語大
客員教授に、米中枢同時テロについて聞いた。(共同=古池一正)
―イスラム原理主義勢力の犯行に間違いないか。
「国際的な組織、周到な準備、高度な技術など、すべての状況証
拠はウサマ・ビンラディン氏とその組織を指し示している。パレス
チナ組織、ヒズボラとイラン、イスラエル情報機関モサド、米国内
組織も考えられるが、過去の活動などからみて可能性は低い」
―米国の対応をどう見る。
「物的証拠を示し、米国同盟対テロの構図ではなく、国際社会対
テロと位置付ける必要がある。アラブやイスラム世界には反米感情
が強く、ブッシュ米大統領が『敵か味方か』と迫るのに違和感を感
じている」
―報復攻撃はどうか。
「一国を攻撃して解決する問題ではない。テロには社会、経済な
どさまざまな側面がある。たとえこの戦いに米国が勝っても、新た
な報復を招く」
―ビンラディン氏の「アルカイダ」の実態は。
「六十カ国に広がり、高度に組織され、訓練の行き届いた多くの
戦士が命令を待っている。組織の細胞が次々に命令を伝達し、最後
にジハード(聖戦)の義務感に燃えた若者が(テロを)実行する」
「末端の活動家は見掛け上は全く゛普通の人″だ。(原理主義者
特有の)ひげもなく、犯罪歴も全くない。イスラム社会には慈善団
体が無数にあり、資金の流れも把握が難しい」
―命令を下すのはビンラディン氏か。
「彼か副官のアイマン・ザワヒリ氏らだ。彼らはいつでもビンラ
ディン氏と代わり得る」
―彼らの最終目標は。
「イスラム国家創設、あるいはイスラムによる統治の実現だ」
―テロとはどう戦う。
「資金など組織のすべてのネットワークを遮断することだ。十分
な時間と忍耐強い国際協力が必要だ」
「われわれは大学で同じ経験をした。地域や政府と協力し(原理
主義に代わる)新たな考え方を提示し、新たな組織をつくり、彼ら
と対決した。協力を拒む者を白日の下にさらした。敵は個人や組織
というよりは、思想だということを理解しなければならない」
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ハッサン・バクル氏 1950年5月生まれ。カイロ大卒、専攻
は政治学。米メリーランド大で博士号修得。現在アシュート大教授
兼東京外語大客員教授。
(了) 011004 1608
[2001-10-04-16:08]