投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 04 日 12:09:06:
【ブリュッセル3日=藤本欣也】
ロシアのプーチン大統領が三日、ブリュッセルで行われた欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)首脳との会談で、新たな欧州の安全保障体制の枠組み作りに動き出した。EUやNATOの東方拡大は避けられないとの判断の下、国際テロという共通の敵を抱えたロシアと欧州との“蜜月”状態を利用して、欧州安保の意思決定に関与しようとの姿勢を強く打ち出したものといえる。
プーチン大統領はEU首脳との会談後、「ロシアはNATOの東方拡大に関する態度を再考する用意がある」と発言したが、前提条件として(1)NATOが軍事組織ではなく政治組織の色合いを強める(2)ロシアがNATOの政治プロセスに関与できる−点を挙げた。
NATOは来年秋をめどに東方拡大を進める計画で、加盟候補国として旧ソ連領のバルト三国があがっている。ロシアは安保上、バルト三国の加盟に強硬に反対してきた経緯があるだけに、この日のプーチン発言は大幅な方針転換を示すものといえる。
背景には、NATOを主導する米国のブッシュ大統領が「NATO拡大に地理的、歴史的制約はない」と断言している以上、拡大は不可避とのロシア側の判断がある。
プーチン大統領はこれまで、冷戦終結後も欧州でにらみをきかせている軍事機構としてのNATOの存在に反発、「ロシアも参加した欧州安保に関する常設評議機関の設立を検討すべき時に来ている」などと発言してきた。プーチン大統領としては現在の欧州との良好な関係をうまく利用して、既存のEUやNATOの意思決定に参画する道を模索する方が得策と判断したとみられる。
今回、プーチン大統領はEUとも安保協議を毎月開催することで合意した。NATOが今後、ロシアにどう対応するかは不透明だが、米国の対テロ軍事作戦の支持を継続して取り付けておくためにも、ロシアとの関係強化を進めていくほか選択肢はないのが現状だ。