投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 04 日 01:53:01:
【イスラマバード3日=佐藤浅伸】
パキスタンのムシャラフ政権が、アフガニスタンの実効支配勢力タリバンへの米国の武力攻撃は不可避とみて、ムハンマド・オマル師を頂点とする現体制を見切り、穏健派による新たな政権作りに向けた転覆工作を始めたことが3日、分かった。
パキスタン軍情報機関当局者が明らかにした。同国はタリバンの後ろ盾となってきただけに、タリバン指導部も動揺を隠せず、地方の有力者の取り込みを図るなど、激しく抵抗している。
同当局者によると、米国が要求する同時テロの首謀者とされるイスラム原理主義指導者ウサマ・ビンラーディンの引き渡しをめぐって、先月28日に行われた軍統合情報部(ISI)長官とオマル師の会談が不調に終わったため、ムシャラフ大統領自身が、「米国の攻撃は不可避」と見て決断した。
転覆工作は、アフガニスタン東部のパクティア、パクティカ、ホストなど3州で両国の国境をまたいで存在するパシュトゥン人コミュニティーを利用し、反タリバン蜂起(ほうき)を扇動、内部崩壊を誘発し、間近に迫る米国の作戦を側面支援する形で行われている。先月30日には、この3州で、反タリバン蜂起を呼びかける冊子が配布されアフガン人6人が逮捕されたが、これも、パキスタンの工作活動と連動した動きと見られている。
タリバン指導部もこうした動きに危機感を抱き、今月1日、3州でタリバン以外の有力者に政権参加を認める懐柔策を打ち出した。2日には、3州で計6000人の兵力を確保したと発表、タリバン支配の盤石さを強調するなど住民の動揺を押さえ込むのに躍起となっている。
一方、タリバンの動揺につけ込むかのように激化している反タリバン連合・北部同盟との内戦は、一進一退の攻防が続いているが、各地でタリバン兵士の北部同盟への寝返りが目立ち、戦況は徐々に北部同盟側に傾きつつあるようだ。アフガン・イスラム通信によると、北部同盟は3日、タリバン支配下のアフガン中部ゴワル州チャクチャランの手前15キロにまで進軍、タリバン軍の司令官3人が兵士とともに北部同盟に加わった。パキスタンにとっては、カシミール問題をめぐり対立するインドとの対抗上も、アフガンに親パキスタン政権を樹立することは至上命題。「タリバン後」の親パ政権樹立についても、米国と秘密裏の協議が続いている模様だ。
(10月3日23:59)