投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 9 月 26 日 19:16:45:
09/26 15:05 文明の衝突ではない 国境の保全が作戦のカギ 外信103
米中枢同時テロに対する米軍の報復攻撃が迫る中、フランスをは
じめ欧州諸国では武力行使への参加に慎重論も台頭しつつある。軍
事作戦の意味などをフランスの国際関係研究所、アジア担当主任の
フランソワ・ゴドマン研究員に聞いた。(パリ共同=信夫聡)
―米軍の「報復」はいつ始まるか。
「攻撃の目的はウサマ・ビンラディン氏の攻撃能力をそぐことで
あり、テロリストの温床となっている国を懲罰することだ。本質的
な作戦は拙速に始められるものではない」
―アラブ諸国の強い反発を招くのでは。
「軍事行動を通じて、急進的なイスラム拡張主義を信奉する人物
や国があぶり出されてくると考える。穏健派がテロ組織に見切りを
付ける契機にもなる」
―「文明の衝突」か。
「断じて違う。テロリズムは『文明』ではなく、文化の破壊でし
かない。アラブ世界に重要な地政学的変化の時期が訪れているのだ
と思う」
―軍事行動は成功するか。
「われわれは一九九○年代前半にソマリア和平活動に失敗し、湾
岸戦争で戦ったイラクのフセイン大統領体制も継続している。この
二つの経験が大きなトラウマ(心の傷)になっている。必ず成功す
ると言い切れる人はいないだろう」
「作戦はアフガニスタンと周辺国の国境を保全できるかどうかに
かかっている。テロリストや支援集団がアフガニスタンから他国に
流出してしまえば、作戦の意味は大半失われる」
―欧州、日本の役割は。
「アラブ世界の過激化は世界的な問題だ。テロの脅威は世界を覆
っており、米国の『戦争』に、欧州も日本もいや応なく巻き込まれ
ている。欧州では米国の攻撃開始と同時に、一時的な懐疑論が強ま
るだろう」
―特にフランスで懐疑論が目立っているのでは。
「わたしは逆に、フランス人の73%が軍事行動への参加に賛成
した世論調査の結果に驚いている。ただ、従来の反戦論を論拠とす
る『古いタイプ』の学者、政治家は今後もテロに対する戦いに反対
し続けるだろう。民衆レベルでも、打ち消しがたい『失敗の予感』
が拍車を掛けている」
▽略歴
フランソワ・ゴドマン氏 フランス国際関係研究所のアジア太平
洋地区主任研究員。フランスの高等師範学校と米ハーバード大卒。
国立東洋言語文化学院の教授とフランス外務省顧問も兼任。(パリ
共同)
(了) 010926 1505
[2001-09-26-15:05]