「ビンラディンはすでにサウジアラビアに潜入?」でブッシュの中東政策は大混乱!(河合洋一郎氏・プレイボーイ10/16号)

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 02 日 15:10:11:

「ビンラディンはすでにサウジアラビアに潜入?」でブッシュの中東政策は大混乱!(河合洋一郎氏・プレイボーイ10/16号)

アメリカ・イスラエル・イラク・アラブ諸国入り乱れ
中東最終大戦争の激震が世界を襲う!

イスラエルとイラクの間で緊張高まる中東に新たな危機が発生した。サウジが反米に転じたのだ。これでアメリカの中東政策は大混乱。中東は一触即発の危機に突入した!

●アメリカのタリバン制圧のシナリオ

「アフガニスタン包囲網」という言葉が頻繁にマスコミに登場している。確かに、アフガン攻撃に向けての準備は着々と進んでおり、包囲網はどんどん狭まれつつある。軍事的には、パキスタンが国内3カ所の空軍基地の使用許可をアメリカに出し、アフガン北方に位置する中央アジア諸国も続々と米軍の領空通過や基地使用を許可している。
また、政治的にも、先週火曜日、アラブ首長国連邦に続いて、ウサマ・ビンラディンの故郷であるサウジアラビアがタリバンとの国交断絶に踏み切った。これでタリバンと外交関係を持つ国家はパキスタンのみとなったが、そのパキスタンもすでに外交団をアフガニスタンの首都カブールから引き揚げてしまっている。
アメリカのアフガン攻撃の戦略も徐々に見えてきたようだ。来るべきアフガン攻撃におけるアメリカの目標は、ビンラディンの捕獲、そしてタリバン政権をつぶすことのふたつだ。その目標を達成するための戦略の中で、現在、最大の焦点は地上軍の投入はあるかどうかということである。
80年代にアフガニスタンで戦った元ソ連兵たちの言を待つまでもなく、険しい山岳地帯が国土の3分の2を占めるアフガニスタンでアメリカが地上戦に入ればベトナム以上の泥沼と化すのは明らかだ。アメリカとしては本格的な地上軍投入はどうしても避けたいところだ。が、空爆だけでは軍事目的を達成することはできない。
このアメリカのジレンマを解決する手段がひとつある。北部同盟との連携作戦である。北部同盟は同時テロ事件の2日前にゲリラ戦の天才といわれたアハマッド・シャー・マスード司令官を暗殺されているが、彼らもタリバン同様、過去20年以上、アフガニスタンで戦い続けてきた超ベテラン戦闘集団だ。その兵力はタリバンの4分の1ほどだが、アメリカの徹底した空爆と軍事支援があれば、国際的に孤立し外国からの援助を見込めないタリバンと十分以上に渡り合うことが可能だ。すでに北部同盟はヘラート、マザリシャリフ、またカブール北方地域などでタリバンと激しい戦闘に入っており、ロシアも彼らへの本格的支援を表明している。
アメリカが現在考えているアフガン攻撃のシナリオはこうだろう。まず徹底的かつ継続的な空爆をタリバンの戦略的拠点に加える。それに乗じて北部同盟がアフガン各地に孤島のように浮かぷ主要都市をどんどん陥落させていく。同時にすでにアフガン領内に潜入しつつある米英の特殊部隊がビンラディンの捜索を開始。そして、北部同盟が首都カブールを陥落させ、タリバンから再び権力を奪取したという体裁が整った時点で、とにかく勝利宣言を行なって矛先を収めてしまう。
過去の例から見ると、タリバンとの本格的な戦闘は北部同盟によるカブール奪回から始まるはずだ。そして、この奪回以後にタリバンが仕掛けてくるゲリラ戦に巻き込まれれば、アメリカは80年代のソ連軍の二の舞となってしまう。それを避けるためには、タリバンとの戦闘がゲリラ戦の段階に入る前に首都カブール奪回という政治的な節目で勝利宣言を出し、その後はカブール新政権に軍事支援を続け、彼らにタリバンとのゲリラ戦を戦わせていけばいいのだ。
ところで、先週月曜日、ロシアのプーチン大統領が、チェチェン・ゲリラに72時間以内に投降せよと最後通牒を出した。これはアメリカのアフガン攻撃と時を同じくしてロシア軍がチェチエンに大攻勢をかける可能性が強いことを意味している。この稿が掲載される頃には、この最後通牒がアメリカの対アフガン軍事作戦に呼応したものかどうかが判明しているだろう。
それにしても、さすがはプーチンである。同時テロ事件発生以後の動きを見事にロシアの国益に利用している。そもそもプーチンがエリツィン後継としてのし上がったのは2年前、首相に就任した時、チェチェンへの大規模な侵攻に踏み切ったからだった。しかし、この侵攻はアメリカを始め世界各国から一斉に非難された。
アメリカなどは国防総省のコントロール下にある傭兵斡旋会社MPRIを使ってチェチェン・ゲリラを訓練し始めたほどだ。チェチェン・ゲリラはイスラム原理主義者集団であり、ビンラディンとも非常に密接なつながりをもっていたにもかかわらずにだ。ゲリラ司令官のひとりであるハッタブなどは、ビンラディンがわざわざ中央アジアから呼び戻し、ゲリラを指拝するためにチェチェンに送り込んだ男だった。
アメリカがゲリラを支援したのは、チェチェン紛争がカスピ海原油のパイプライン戦争に大きくからんでいたためだが、ビンラディンを世界最悪のテロリストとして指名手配しながらも、アメリカはこれまで自国に都合のいい局面では彼らと手を結んできたわけだ。ユーゴ空爆でのコソボのアルバニア系住民支援もそのいい例だ。
が、同時テロ事件で情勢はガラリと変わった。アメリカを中心に西側諸国が反テロ連合で結束しつつあるなかで、プーチンが大規模なチェチェン攻撃に打って出てもどこからも文句は出ない。この機をとらえて、プーチンは泥沼化していたチェチェン情勢に一気にケリをつけようとしているのである。

●サウジの反米化で中東は大パニック!

話を戻そう。
説明したようにアフガン包囲網はすでに完成し、アメリカの攻撃は秒読み段階に入っている。が、これはアフガン攻撃という対テロ戦争の第1ラウンドの準備に過ぎない。実際、アメリカの対テロ戦争の本格的なゴングが鳴るのはアフガン攻撃後なのだ。だが、攻撃の準備が整うのと反比例するかのように、第2ラウンドの戦いにアメリカが必要としている中東諸国の支援体制はどんどん崩壊しつつある。
以前、この連載で述べた同時テロの黒幕が狙っていたもの、中東諸国における親米対反米という対立構図の激化がいよいよ本格化し、各国に激震をもたらしているのである。特にその中でも注目すべきはサウジアラビアで発生した静かなる宮廷クーデターだ。
サウジ政府は先週火曜日、タリバンとの国交断絶を発表し、アメリカのアフガン攻撃に歩調を合わせる動きを見せた。が、それは表向きのことに過ぎなかった。なぜなら、その2日前、彼らはアメリカ軍がアフガニスタン、またその他のテロに協力した国を攻撃するためにリヤド近郊にあるプリンス・スルタン空軍基地を使用することは許さないと発表していたからだ。この空軍基地には4500名の米兵が駐屯しており、中東地域のアメリカ空軍の拠点としては最も重要なものだ。イラク南部の飛行禁止空域をパトロールする戦闘機の基地としても使われている。
アメリカが中東有事の際、司令部として使うために最新鋭の設備をそろえていたこの基地の使用を拒否したのだ。サウジは同じ日にGCC(湾岸協力会議)の声明で「対テロの努力に全面的に協力する」などと言ったり、タリバンとの国交断絶といった実質的に大して意味のないことを行なって対テロ戦争を支持するポーズをとりながら、アメリカに冷や水をぶっかけたのである。
サウジがこういった態皮に出る兆候はすでに現れていた。先月19日にファハド国王が突然、専用機でジュネーブへ移動していたからだ。当初、これは国王の健康状態が悪化したためと考えられていたが、それは違った。その後、続々と彼の一族が王族専用機でジュネーブ空港に到着し始めたのだ。それに、治療ならわざわざ彼が国外へ出る必要はなかった。サウジには彼の健康を維持するために最新の医療設備が整えられており、また、これまで必要とあればアメリカが即座にトップ・クラスの医者を送り込んできたからだ。
それでは、なぜファハドはこの時期に国外へ出たのか。結論から言おう。彼は皇太子のアブドラによって国外追放されたのである。
これまでサウジの親米政策は、ファハド国王と弟のひとりである国防相のスルタンの主導で推し進められてきた。が、腹違いの弟のアブドラ皇太子は、宗教的にイスラム原理主義思想の持ち主で、親米政策をとる国王と対立してきた。アメリカが95年に脳卒中で倒れたファハドを懸命に治療してこれまで生かしてきたのも、すでに76歳になっているアブドラよりも早く死なれては困るからだ。
両者のカの均衡は、それぞれが持つ軍事力によって保たれていた。国王が約12万の正規軍を握り、アブドラは国家警備隊10万をその支配下に置いていた。だが、今回の同時テロ事件の影響でその均衡が崩れてしまったのだ。
アブドラ直属の国家警備隊はよく訓練され、アブドラに絶対忠誠を誓っている一方、正規軍兵たちの国王に対する忠誠心は非常に脆弱といわれている。なぜなら、サウジアラビアは元来、ワッハープ派によるイスラム原理主義国家であり、米軍の駐留に反対する国民が多いからだ。もちろん、そういう思いは兵士たちも同じである。そのため国王自身、軍をまったく信用しておらず、もしもの時のために欧米から3千人の傭兵を雇い入れ、砂漠の中の秘密基地に待機させているほどなのだ。
中東の情報筋によると、アブドラはファハド国王に対テロ戦争でアメリカに自国内の基地を使用させないことを迫ったという。国王はそれを拒否したためアブドラは国外追放を申し渡した。
ファハドに選択の余地はなかった。アブドラには軍事力と宗教界のバックアップがあったが、ファハドにあるのは、アメリカ軍にアフガニスタンやイラク攻撃のために基地を使わせれば反乱を起こしかねない軍だけだったからだ。
そして、これは未確認情報だが、この時、アブドラはもうひとつのことを要求したという。ビンラディンのサウジヘの帰国許可である。真偽のほどは定かではないが、アブドラがこれまでビンラディンを陰から支援してきたと指摘する諜報関係者が多いことからも事実である可能性は十分ある。実際、すでにビンラディンがリヤドに到着しアブドラの保護下に入ったという噂が諜報筋の間で流れている。
もし、仮にこれが事実であり、アブドラがビンラディンをイスラム法による裁判にかけると世界に発表したら・・・。
アメリカの対テロ戦争、そして中東戦略が大混乱に陥るのは必至だ。アラブ諸国はアブドラを全面的に支持するはずだし、ピンラディンの引渡しを彼が拒否してもアメリカはサウジに戦争を仕掛けるような真似はできないだろう。サウジのオイル・マネーは長年、アメリカ政界を潤してきた上、様々な極秘工作にも使われてきたからだ。よく諜報関係者が言うように、過去何十年にわたって「アメリカとサウジは同じベッドで寝てきた」のだ。
サウジアラビアが実質的に反旗を翻したことでアメリカが大慌てしているのは、ブッシュが議会に対して、国務省の対テロ支援国リストに載っているイランとシリアなどに軍事支援ができないかと打診したことでもわかる。こういった国を反テロ連合に引き込むことで、なんとかしてアラブ諸国の支援をつなぎとめようとしているのだ。
そして、このアメリカの動きが中東にまたひとつ波紋を投げかけ始めている。イスラエルの孤立化である。イラクのサダム・フセインが待ち望んだ緊張状態が中東に現れ、同時に唯一の味方であったアメリカがなりふり構わぬアラブ支援を求める。この時、イスラエルがとる行動は・・・。

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