投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 9 月 25 日 21:12:53:
09/25 16:36 巧みな錬金術、資金操作 難航するテロ金脈捜査 外信84
共同
米中枢同時テロの最重要容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏
とその組織アルカイダは、レモンからダイヤモンドまで世界各地で
貿易を手掛けるほか、金融投資のプロを配置するなど巧みな錬金術
でテロ資金を生み出してきた。
グローバル化を逆手にとった資金洗浄や各国バラバラの欧州金融
監督行政の盲点を突くなど巧妙な手口の一端も浮かび上がる。
米国や英国がビンラディン氏関連の銀行口座凍結に踏み切るなど
、各国当局は資金源を断つための包囲網づくりに躍起だが、金脈を
めぐる捜査は難航している。
▽35カ国で事業展開
ドイツやフランスの有力紙の報道によると、ビンラディン氏の関
連企業は、中東や米国、英国、ロシアなど世界約三十五カ国に計六
十社以上。スーダンの持ち株会社は傘下に貿易、建設、農業、銀行
などを抱える複合企業体だ。
トルコで木材、タンザニアでダイヤモンド、タジキスタンではオ
リーブなどの事業を展開。武器や通信機器の密売、ウランの入手さ
え図る。アフガニスタンではアヘンを生産、アラブのイスラム系非
政府組織(NGO)などを通じた巨額の寄付金ルートもある。
▽金融に精通
資金はアラブ首長国連邦やスーダンの銀行を経て、石油マネーが
集まるロンドンなどから活動家に渡る。アフガニスタンのタリバン
のほか、パレスチナのハマス、フィリピンのアブ・サヤフなど世界
各地のイスラム原理主義組織が資金援助を受けているという。
税率がゼロか極端に低いタックスヘイブン(租税回避地)で資金
洗浄も行われているもようだ。
フランスのフィガロ紙によると、米中央情報局(CIA)の元幹
部は「資金洗浄の中心はキプロス。パナマ、ケイマン諸島にもアル
カイダの出先機関がある」と証言している。
ビンラディン氏の個人資産は推定約三億ドル(約三百五十億円)
。周辺に投資・運用のプロを多数抱え、大学時代に経済学を学んだ
本人も金融知識が豊富という点が「ほかのテロリストと大きく異な
る」(フランクフルトの証券関係者)。資金運用先は中東、欧州、
米国など世界にまたがる。
▽盲点を熟知
テロの直前にフランクフルト株式市場で、ビンラディン氏の関係
者が大手保険三社の株を先物取引で売り、急落後に安値で買い戻し
て巨利を得たとの疑惑も浮上した。売買注文・送金などではロンド
ンやスイスの金融機関が関与した可能性がある。
だがドイツでは、指摘される先物取引について、具体的内容を当
局に報告する義務は金融機関にない。スイスの銀行は顧客の守秘義
務が徹底していることで有名だ。
欧州の金融・証券規制が国ごとにバラバラで、監督当局が機動的
に動けない盲点を熟知し、資金の流れを追いにくくしている。組織
・企業内では送金伝票を作らず゛証拠隠滅″を図っているという。
欧州連合(EU)の蔵相理事会は二十二日、インサイダー取引や
資金洗浄の共通の枠組みを十月までに作成することで合意した。
だが今は数分あれば、資金を地球二、三周分も動かせる金融グロ
ーバル化の時代。「ビンラディン氏のグローバル化対応は当局より
も早い」(市場関係者)と皮肉る声もある。(フランクフルト、パ
リ共同=高橋秀次、信夫聡)
(了) 010925 1636
[2001-09-25-16:36]