投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 24 日 17:00:44:
1) 暗殺にはデルタフォース投入
米軍の特殊部隊は、陸軍第1特殊作戦軍(通称・グリーンベレー)、海軍の「シール」、空軍特殊作戦飛行隊の約2万数千人と、3軍から選りすぐられた数百人の「デルタフォース」で構成されており、ノースカロライナ州フォートキャンベルにあるポープ基地の統合特殊作戦司令部の下に置かれている。
中でも、米軍による報復戦で大きな活躍が期待されるのが、「デルタフォース」である。
正式名称「カウンターテロリスト・スペシャルオペレーションズ・デタッチメント(対テロリスト特殊作戦分遣隊)」。陸・海・空の3軍から選りすぐられた部隊であることから「デルタ=3」をとってこう呼ばれている。100人〜数百人説があるが、正確な人数は公表されていない。
米国のラムズフェルド国防長官は、9月16日、米軍の行動について、
「多くは司法当局や特殊部隊による作戦になるはずだ」
と述べており、一方、パウエル国務長官がCIAによる「暗殺」などを禁じた76年の大統領例見直しに言及していることから、『ノーブル・イーグル』作戦では、特殊部隊=デルタフォースによるオサマ・ビンラディン氏暗殺も視野に入れているとの見方が一気に広まった。
軍事評論家、西沢優氏が解説する。
「デルタフォースは隠密作戦を旨とし、夜間に敵の本拠の裏へと空から降下して司令官の首をかっ切り、音もなく引き揚げるなどという作戦をやってのける忍者部隊。高度に政治的な任務を負うことから、軍事関係者の間では『秘密の小箱』という言い方さえある」
果たして、デルタフォースによる≪暗殺≫は実際に行なわれるのだろうか。
(2) 空爆は1週間、その後に地上戦
世界の民族紛争と軍事情勢に詳しいジャーナリスト・惠谷治氏の見方はこうだ。
「アフガンの北部同盟、ラバニ政権は、国連に議席を持ち、建て前上は正規政権でオマール師率いるタリバンと対立している。ラバニ派は民族的にはタジキスタンと同じタジク人であり、一方、タリバンはパシュトゥーン人でパキスタン人と同民族。米軍の特殊部隊にとってアフガン国内に支援組織のある今回は、湾岸戦争のイラクとは違ってアフガンへの侵入自体は難しいことではない。
ただし、パキスタンは米国への協力を表明しているものの同民族のタリバンを心情的には支援しており、パキスタン側国境からアフガンに侵入することは困難で、タリバンが本拠を置く南部のカンダハール付近の情報収集には、パシュトゥーン人の協力者を得る方法がとられるはずだ。また、西部でイラン側のヘラート州は砂漠地帯であり、特殊部隊はパラシュートで降下、情報収集にあたっていると思われる」
そして米軍による空爆は、遅くとも10月の半ばには始まると見る。
その上で、陸軍、海軍の海兵隊数個師団・旅団、数万人規模の地上軍がアラビア海に面するパキスタンのカラチから上陸。一方はクエッタ(パキスタン中部)を経由して陸路、カンダハールに至り、一方は空路ペシャワル(パキスタン北部)を経由してカブール(アフガンの首都)に押し寄せると考えられる。
だが、空爆でも大規模な地上戦でもビンラディン氏を抹殺することはほぼ不可能だという。
「隣接する国がいくら名目上の国境を封鎖しても、アフガンのゲリラにとって他国への脱出路はいくらでもある。
実は、アフガン戦争当時、旧ソ連の影響力排除を目的にゲリラを支援した米国自身がそのことを痛いほど知っており、それゆえブッシュ大統領は、当初から軍事行動は長期戦になると表明している」(惠谷氏)
米パウエル長官らが「暗殺」を復活させようとする理由も、まさにそこにある。
(3)自走式榴弾砲戦術核使用か
特殊部隊による急襲→暗殺以外に、米国にはビンラディン氏を抹殺するための方法がもうひとつ、残されている。
「核」だ。
本誌は前号でも、国際関係論の第一人者で、京都大学の中西輝政教授の、
「これはテロではなく戦争であり、戦術核による報復攻撃は当然、真剣に論じられているはずだ」
との指摘を紹介したが、前出の西沢氏は、軍事の専門家らしく、さらに具体的にこう語る。
「米軍はアフガニスタンをいくつものエリアに分け、ひとつひとつを潰す形でビンラディンを追い込んでいくと考えられる。しかし、『暗殺』のオペレーションには、ビンラディンがどこに潜んでいるかの特定が不可欠でそれは非常に困難だ。
そこで、少なくともその地域、たとえば特定の渓谷に彼がいると確信した段階で、戦術核によりその地域一帯を吹き飛ばすことも視野に入れている」
その場合に使用される戦術核は被爆の範囲が広島型原爆の3分の1〜5分の1、3キロトン〜5キロトン程度の核砲弾だという。
「核砲弾は自走式203ミリ榴弾砲(注・榴弾砲は軍事用語でいわゆる大砲のこと。自走式榴弾砲は一見、戦車に見える移動可能な大砲を指す)で発射可能。核の使用は最悪のシナリオであり、ロシアや中国の反発を事前に抑える外交配慮が必要になるが、軍人は常に核兵器の使用を選択肢に入れている」(西沢氏)
実際、前出の防衛庁筋によれば、自衛隊が米軍と共同訓練を行なう場合でも、核兵器の使用を念頭に置いたオペレーションが展開されることもあるという。