投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 24 日 10:58:52:
【ワシントン23日=貞広貴志】
米国の同時多発テロをめぐり、米軍のアフガニスタン周辺地域への展開が本格化、いつ武力行使に踏み切るのかが焦点となってきた。米政府は「軍の動きは明かさない」(ラムズフェルド国防長官)と手の内を一切見せない。Xデーは間近いのか。1991年の湾岸戦争のように数か月かけて万全の態勢を整えるのか。それとも、始まりも終わりも分からない「見えない戦争」になるのか――。
□今週中にも…早期開戦■
ブッシュ大統領は23日、テロ事件の犠牲者への弔意を表して半旗となっていた星条旗を、ポールの先端に戻す式典を行った。米国の「服喪明け」は反撃準備の完了をも象徴することになりそうだ。
それに先立つ22日、米国防総省は、5172人の予備役を追加招集する方針を明らかにした。米国内からはB52爆撃機などが、行く先が公表されないまま次々と飛び立っている。艦艇もペルシャ湾岸一帯に集結しつつあり、「戦闘遂行に十分な兵力が配備された」(外交筋)との見方が強い。不意打ちの効果を高めるため、今週中にも攻撃が始まるとの観測は強まりつつある。
この場合、まず巡航ミサイルや空爆で相手の動きを止め、特殊部隊を一気に投入する展開となろう。当面の攻撃目標はウサマ・ビンラーディンだ。
戦闘開始を急ぐ理由には、天候などの要因もある。山岳地帯であるアフガンは11月半ばには雪が積もる。米軍の特殊部隊や陸上戦力には圧倒的に不利だ。
このころ、イスラム教徒の宗教上の義務の1つであるラマダン(断食)も始まる。約1か月間続く、この儀式を無視した攻撃はイスラム教徒の強い怒りを招くだろう。
また、ブッシュ大統領は国民に忍耐を呼びかけてきたが、開戦時期があまりに先送りされると世論の風向きが変わり、軍事行動への圧倒的な支持の熱が冷めていく懸念も捨て切れない。
★これはちょっと考えられない。社会生活についている予備役召集するということは、その分経済活動の停滞を招くことを国家が覚悟しているということだからである。また予備役を再訓練し、軍の留守部隊や兵站部隊に配置するには結構数ヶ月の時間がかかるものである。であるなら、早期開戦というシナリオは考えにくい。
□年明け開戦…慎重論■
専門家の間では、「居場所のわからないビンラーディンを確実に捕そくするには、十分な事前準備が必要だ」との慎重論も根強い。
失敗例として引かれるのが、クリントン前政権が1998年に行ったアフガニスタンなどへの巡航ミサイル攻撃だ。標的を外してテロ組織の勢力を温存させただけでなく、ミサイルを突然、他国に撃ち込むやり方はアラブ諸国の人々の反米感情を高めるだけに終わった。
米政府は「テロリストは追い続ければしっぽを出すはずだ」と戦略の一端を明かす。空母をはじめ圧倒的な軍事力の展開で心理的な圧迫を加えようという神経戦の側面もほの見える。
タリバン政権の打倒を目指すなら、大規模な地上軍投入が必要で、準備には時間がかかる。混乱を回避するため、「タリバン後」の政権構想もある程度は固めておきたい。こうした要因が、最低数か月の準備は必要、と見る「年明け開戦論」の根拠になっている。
□極秘に急襲…見えない戦争■
米政府は「今回の戦いは、これまでのどんな戦争とも違う」(ブッシュ大統領)もので、警察や情報機関、金融システム、外交を動員した総力戦になるとの見解を繰り返し表明している。
その意味で、宣戦布告なき対テロ作戦の火ぶたはすでに切られたとも言える。
表面的には何も起きていないような局面が続くが、特殊部隊が極秘にテロ組織の本拠を急襲する形で攻撃が始まる――そんな展開になる可能性すら否定はできない。
また、現時点では考えにくいシナリオだが、タリバンが土壇場になってビンラーディンを米国に差し出すこともありうる。この場合、近い将来にアフガニスタンに攻撃を仕掛ける可能性は減るだろう。
ただ、米国は今回の作戦を「個人や組織でなくテロに対抗する戦い」と位置付けている。いずれは、イラクなどの「テロ支援国家」に舞台を移して、軍事作戦が始まる公算は大きい。
(9月24日01:50)