投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 22 日 21:22:04:
【ワシントン布施広】
22日付の米紙ワシントン・ポストは、アフガニスタン攻撃で米軍が出撃拠点に想定するサウジアラビアが基地の管制センターをアフガン攻撃用に使うことに難色を示しているため、作戦開始が数週間遅れる可能性があると報じた。既に米軍の特殊部隊がアフガン周辺国に配置されたとの報道もあるが、強固な陸上拠点を作れずにいることや、アフガンの反タリバン連合(北部同盟)との連携の可能性も含めて、作戦立案にはなお時間がかかるとの見方が強い。
●外交日程
米軍の攻撃開始時期については当初、「遅くとも9月中」との見方が強かった。ブッシュ大統領の20日の議会演説で、戦闘開始に向けた国内の環境作りは終わった。
だが21日の米中外相会談で、25日から米中テロ対策専門家会合を開き、10月1日から3日間、米中人権対話を行うことが決まった。また大統領は同月15日ごろ、日本、韓国、中国訪問に出発。上海でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席し、中国公式訪問を経て同25日ごろ帰国することになっている。
アジア歴訪の日程を変えないなら、なるべく早く攻撃を開始する必要がある。かといって中国との人権対話の直前または最中に攻撃を始めるかどうかは微妙で、「10月4日から数日内」が一つの候補になりそうだ。
●基地不安
ポスト紙によると、米軍はサウジの首都リヤドから南東約110キロのプリンス・スルタン空軍基地を出撃拠点とする。しかし、サウジ側は6週間前に完成した合同管制センターの使用に難色を示し、米軍は他国の基地を使う選択肢も検討するなど、作戦計画見直しを迫られているという。
サウジは湾岸戦争(91年)で米軍の一大拠点となったが、その後は米軍がイラク攻撃のために基地を使うことを渋り続けている。タリバン政権を承認しているだけに、米軍への協力は国内の政情不安につながると恐れているようだ。
陸上基地がなくても巡航ミサイル攻撃や空爆は可能だが、特殊部隊による奇襲や地上作戦では、アフガン隣接国に拠点を設ける必要に迫られる。
今のところ米軍の地上作戦用の基地貸与を公式に認めた国はない。米軍はまず空てい部隊でアフガン国内の空港を制圧し、兵員をピストン輸送するとの見方もあるが、もう少し時間をかけて周辺国を説得することも考えられる。
●容疑者はどこに
米軍が作戦立案に慎重なのは、標的とするウサマ・ビンラディン氏の所在特定が難しく、同氏の組織「アルカイダ」とのゲリラ戦で、思わぬ苦戦を強いられる可能性もあるためだ。渓谷や岩山が多いアフガンで、1人の人間を捜し出すのは至難の業。武装組織の不意打ちにあう恐れもある。湾岸戦争の砂漠戦や、ユーゴスラビア空爆(99年)とは全く様相が違う戦闘になる。
そこで浮上するのが、反タリバン連合との連携だ。ラムズフェルド国防長官は21日、地形に詳しく戦闘経験も豊富な勢力と連携するのは、米軍にとって有益との見方を示した。タリバン政権に対する一種の揺さぶりとはいえ、反タリバン連合を米軍の軍事作戦に組み込むことは十分あり得る。各国の後方支援態勢も固まったとは言えず、どの時点で攻撃を開始するか難しい判断になる。
[毎日新聞9月22日] ( 2001-09-22-20:24 )