投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 9 月 21 日 19:01:32:
09/21 15:22 王制打倒の動き激化を懸念 攻撃支援に揺れるサウジ 外信97
共同
米中枢同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏を生ん
だサウジアラビア。事件後、サウジアラビア政府はいち早く米国の
報復攻撃への支持を表明したが、米国の反発を回避する狙いに加え
、実行犯にサウジアラビア国籍の若者たちが多く含まれていること
への゛負い目″もみえる。一方で、約十年前の湾岸戦争の時とは異
なり、軍事作戦への参加には消極的な姿勢を見せている。
「サウジアラビアからの米軍撤退というイスラム教徒として正当
な主張をしてきたビンラディン氏への攻撃を積極的に支援すれば、
国内の反王制運動を勢いづかせる不安がある」。サウジアラビアが
攻撃参加に否定的な理由について、中東駐在の外交筋はこう分析し
た。ビンラディン氏への対応は、板挟みの中で揺れる世界最大の石
油大国の不安定さを露呈している。
事件後、ファハド国王は「いかなる形であれ、テロとの戦いで米
国に協力する用意がある」と言明。十八日には、イランとの間で今
年四月に締結されたテロ対策協力などのための治安協定を批准した
。この時期に合わせ、テロに反対する姿勢を強調しようとの狙いは
明らかだ。
米国は一九九六年にサウジアラビア東部で起きた米軍施設爆破事
件などの捜査をめぐり、サウジアラビア側の非協力的な対応に不満
を募らせてきた。サウジアラビア政府の今回の姿勢は米国をこれ以
上、刺激したくないとの意図ものぞくが、政府高官は「情報協力は
しても、軍事協力はしたくない」と本音を漏らす。
ソ連のアフガニスタン侵攻に対抗するため、ビンラディン氏の力
を増長させたのは米国だが、サウジアラビアがアフガニスタンに義
勇兵約二万人を派遣し、資金援助に同氏を利用したのも事実。「両
国はビンラディン氏を育てた゛両親″」(消息筋)といえる。
サウジアラビアの情報機関のトップを務めるトルキ王子はビンラ
ディン氏と深い関係を持つとされる。湾岸戦争の際、サウジアラビ
アが米軍駐留を容認したことを非難したビンラディン氏の追放措置
が決まると、トルキ王子が同氏のスーダンへの亡命をひそかに手助
けしたとの情報もある。
サウジアラビア政府は九四年、ビンラディン氏の国籍をはく奪し
たが、裏では国内に連れ戻そうと試みた形跡がある。かつては非イ
スラムのソ連軍に対し聖戦を呼び掛けながら親米に傾くサウド王家
の「裏切り」に憤るビンラディン氏は拒否を貫いた。
今、サウジアラビア王室が最も恐れているのは、ビンラディン氏
への報復攻撃に同調することで、反体制派の動きが活発化し、攻撃
の矛先が自分たちに向かってくることだ。
サウジアラビア国内では、昨年十一月に首都リヤドで、十二月に
は東部のホバルで爆弾事件が発生するなど、不穏な動きがある。サ
ウジアラビアは報復攻撃で生じる結果をかたずをのんで見守ってい
る。(テヘラン共同=福田泰教)
(了) 010921 1521
[2001-09-21-15:22]