投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 19 日 19:39:57:
【ワシントン19日=永田和男】
同時多発テロ以降、米国ではテロ組織の攻撃が炭そ菌など生物兵器による大量殺りくにエスカレートするとの懸念が軍事専門家や政府関係者の間で高まっている。
旅客機突入テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディン主宰の訓練所を撮影した衛星写真に、実験用とみられる大量の動物の死がいが写っていたとニューヨーク・タイムズ紙(16日付)が報じ、生物兵器開発を伝えられるイラクとビンラーディンの関係も浮上。こうした情報に加え、炭そ菌のワクチンの量が絶対的に不足していることが明らかになって、不安をかき立てているものだ。
炭そ菌は吸い込むと激しい風邪のような症状を引き起こし、80%以上の人が2日以内に死亡するという猛烈なもの。ワシントン上空で飛行機から100キロの菌をまけば風向きによっては300万人が死亡するという予測もある。
ジェームズ・ウールジー元中央情報局(CIA)長官は18日の講演で、「炭そ菌ワクチンは全米でも数百万人分しかない」と無防備の実態に警鐘をならした。米議会の大量破壊兵器使用テロ対策に関する諮問委員会座長のギルモア・バージニア州知事は17日、「生物兵器テロこそ、想像し得る最も深刻な被害をもたらすとの認識で委員会は一致している」と指摘し、近く議会とホワイトハウスに提出する報告書でもワクチン増産を急ぐよう提言する考えを示した。
テロ組織相手の戦争を控え、最もワクチン接種が急がれるのは軍だが、国防総省スポークスマンは18日の記者会見で炭そ菌ワクチンの貯蔵状況を聞かれて「言えない」と回答を控えた。同省はイラクの炭そ菌兵器使用に備え、3年前に240万人の全将兵・職員にワクチンを接種する計画を立てたが、昨年末までに1度でも注射を受けたのは50万人に過ぎない。
ワクチンの在庫は現在6万人分しかなく、対象を中東に1か月以上駐在予定の人にだけ絞って接種を続けている。だが同省の唯一のワクチン供給元であるミシガン州の製薬会社に、新規の工場に食品医薬品局(FDA)の認可が3年以上も降りない、といった事情もあり、すんなり増産が進む見通しも立たない。
(9月19日19:23)