投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 19 日 18:17:05:
【北京・坂東賢治】
中国が同時多発テロ後、急速に対米戦略の調整を進めている。「テロ」という明確な敵を見出した米国の対中認識が変わり得ると見ているためだ。19日夜にワシントン入りする唐家セン外相もテロ反対で米中の共通利益を訴え、協調姿勢をアピールする。
江沢民国家主席は11日の事件発生直後、ブッシュ米大統領に「中国は一貫してテロに反対してきた」と原則的立場を伝えただけだった。しかし、翌12日の電話協議では「中国人民は米国人民と共にテロを強く非難する」とさらに踏み込んだ支持を表明した。
中国は米国内で根強い「中国脅威論」について「常に敵を必要とする米国独特の冷戦思考」(政府系機関研究者)が背景にあると見てきた。しかし、米国が「新たな戦争」と呼ぶテロの発生で、米政権内部の対中強硬論が退き、国際協調を優先する動きが強まるとの見方を強めている。
江主席は17日、ブレア英首相、シラク仏大統領、プーチン露大統領と相次いで電話会談し、「反テロでの国際協力が緊急課題だ」などと国際社会との共通の立場を強調した。
江主席は軍事行動の前提として「明確な証拠と具体的な目標」を求め、「無実の市民への損害をできるだけ減らすべきだ」とクギを刺した。安保理常任理事国3カ国首脳との会談には米国の独走を抑え、国連中心の論議を進める狙いがある。
しかし、国連の役割強調は「国連の場を通じて十分な論議が行われるのなら武力行使にも反対はしない」という米国へのメッセージとも受け取れる。
テロの脅威を強調し、協力を呼びかけながら、ミサイル防衛に固執してきたブッシュ政権の対中戦略転換を促す。同時に「責任ある大国」としての中国の立場を強化する――。これが多発テロを受けた中国の新たな対米戦略となりそうだ。
[毎日新聞9月19日] ( 2001-09-19-18:12 )