投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 9 月 16 日 14:21:55:
米国が、同時多発テロを生んだテロ組織の温床と見るアフガニスタンへの包囲網を着々と築きあげている。南東側でパキスタン、北側でロシアとの共闘を模索する一方、西側では長年の宿敵イランと手を組む可能性すら出てきた。イスラム過激派指導者オサマ・ビンラディン氏を追いつめる掃討作戦に向け、大胆な外交戦術を展開している。
アフガニスタン周辺国の中で、最も長く国境を接するパキスタンに、米国は急接近している。アラビア海に展開する米空母部隊から飛び立った爆撃機などがパキスタン領空を通過する場合には同国の承諾が必要だ。パキスタンの複数の関係者によると、すでに同国は同意しているという。ビンラディン氏の拠点があるとされるアフガニスタン南部カンダハルにも最も近い。米国にとって、湾岸戦争時の攻撃拠点になったサウジアラビアのような意味がある。
ブッシュ政権はテロ事件前に、武器売却をめぐり中国とパキスタンの企業に制裁を発動。南アジアは米・インド−中・パの対立構図が形成されつつあった。だが、情勢は一変した。パウエル国務長官は15日、「パキスタンの全面協力に感謝する」と表明。米政府は今後、軍事交流を強化する。
アフガンの北では、米国はタジキスタンに目を注ぐ。タリバーン政権と戦う「北部同盟」と関係が深く、米国防総省代表団が今年訪れるなど限定的な軍事交流も始まっていた。ただし同国の国境管理、基地はロシアの手にあり、隣の新興独立国ウズベキスタン、トルクメニスタンと同様に米ロ間の協議がカギをにぎる。
ロシアはイスラム過激派のテロに手を焼いており、共闘は可能だ。だがロシアが同様に問題視する中央アジアやチェチェン共和国の「テロ活動」は民族闘争の面もあり、米国はそこに手を染めたくはない。ビンラディン氏の組織掃討に限定して、ロシアの協力が仰げるのかは不透明だ。
イランもタリバーンと対立している。米国は79年のイラン革命以来断交中だが、テロ事件後に水面下で協力を打診。米高官は「驚くほど前向きな反応が来た」と言う。イランは中東紛争との関係も深いため共闘は困難だが、国境封鎖などで「沈黙の協力」をする可能性はあると米側は見る。
米国務省は14日、アラブ諸国15カ国の大使らと協議し、「包囲網につくか、孤立を選ぶか」の選択を迫った。米外交はいま、旧来の国際関係の枠を超えて、「テロとの戦争」に勝つことに目標を絞っている。
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