投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 8 月 30 日 00:13:54:
【ワシントン布施広】
悪化する一方のパレスチナ情勢に有効な手が打てない米国。28日の記者会見で「米国の中東政策は失敗したのか」と問われたバウチャー国務省報道官はこう答えた。「米国が和平達成に失敗、と言いたいのなら、この50年間、あなた方は毎日でもそう書けただろう」
その発言には、48年のイスラエル建国以来、紛争の連続だった中東情勢を踏まえ、和平仲介は簡単ではなく、現状に一喜一憂しても仕方がない、という含みがある。
米政権にとって中東和平は「火中のクリ」とも言えるものだ。クリントン前政権が中東和平に本腰を入れたのも、大統領選への気遣いがいらない2期目に入ってからだ。
ブッシュ政権は、将来の再選結果を左右するユダヤ票を意識せざるを得ない。パウエル国務長官が今月末から南アフリカで開かれる「世界人種差別撤廃会議」の欠席を決めたのも、同会議がイスラエル批判を打ち出す見通しになったためだ。「中東和平より再選に向けた政権基盤強化」。それが、きわどい選挙で当選したブッシュ大統領の本音だろう。
選挙への思惑は米議員たちにもある。「ブッシュ大統領とアラファト・パレスチナ自治政府議長の会談が実現しないのは、ユダヤ・ロビーや議員たちが会談に反対しているのが一因だ」(カッツマン議会調査局分析官)という。
だが、イスラエルが米国製の兵器でパレスチナ人を殺傷していることは、「人権」を金看板とする米国の汚点になりかねない。アラブ世界に高まる対米批判が、年来の「イラク封じ込め」政策の遂行を難しくしているのも確かだ。その意味で、ブッシュ政権は早晩、中東政策の見直しを迫られることになるだろう。
[毎日新聞8月30日] ( 2001-08-30-00:02 )