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本件の捜査はとても苦労が多く、テレビドラマにしたくなるようなものだったそうです。記事は、慣れない大都会での青森県警の活躍の一端を伝えています。多分、全国的には知られていないことでしょう。
(青森6月25日東奥日報 ) 千田被告逮捕に外国人女性が情報
県住宅供給公社十四億円横領事件で、元公社経理担当主幹・千田郁司被告(45)=業務上横領罪で公判中=が東京都六本木の路上で発見、逮捕されたのは、地道な捜査で都内の飲食店に勤務する北欧系の外国人女性から得た情報が決め手となっていたことが二十四日分かった。昨年十月末に姿を消して以来、都内の高級飲食店、外国人バーなど、立ち回り予想先での集中的な聞き込みなどで捜査網を広げた捜査陣。逮捕から半年余を経て、巨額横領事件解決の裏面の一つが判明した。
千田被告は公社での着服が発覚した後、欠勤を続けてから二〇〇一年十月二十六日、空路、都内に入ったまま行方をくらました。基礎的な捜査を終えた青森署と県警は十一月八日、業務上横領容疑の逮捕状を取り全国に指名手配した。これに並行し専従捜査員を首都圏に派遣、行方を追った。
大都会のなかで捜査員は、宿泊施設や交通機関、高級飲食店、外国人バーなどでの聞き込み、店舗での張り込みを続けた。千田被告は偽名をかたるなどその所在は不明だった。が、複数の関係者の情報によると、一カ月余の捜査を経て、外国人が勤務する飲食店からもたらされた情報で事態は大きく展開する。
「チダ(千田)を知っている。チダが今度、店に来る日と時間が分かります」。極めて重要な情報は、飲食店従業員の北欧系の女性からのものだった。女性はスウェーデン人とみられている。捜査員は驚いた。しかし、女性は「(報酬)百万円がほしい。出したら具体的に言う」と条件を提示したとされる。
十二月十七日夜、この外国人女性の予言した通り、千田被告は六本木に現れ、そのまま飲食店に入った。店内は多くの客でにぎわっていた。踏み込めば、混乱するのは目に見えていたようで、捜査員はじっと外で待ち続けた。入店から約二時間後の午後十一時を回った深夜、被告がついに店から出た。
捜査員数人が周囲を囲む。うち一人が口を開いた。「千田か」。「はい」と、千田被告は観念したように答えたという。逃げる気配はなかった。そのまま近くの警視庁麻布署に任意同行し、逮捕した。専従班が、足を使った捜査でつかんだ貴重な、決定的な情報となった。
県警や青森署は、捜査協力者の要求の内容やそれへの対応など、捜査の過程と具体的な措置については、一切言及していない。しかし、千田被告の逮捕の前後、要求額全額ではないものの、協力者である外国女性との折衝・調整が済んだものとみられる。