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有事関連法案の成立をもしアメリカ軍産複合体が希望していたならば.....。この成立が遅れれば日本でテロ事件が勃発するかもしれない。
■国の圧力が日本を潰す
有事関連法案の成立が危ぶまれる状況となってきた。
もともとこの法律は、民主党の一部保守系議員など野党側にも賛同者がおり、今国会の成立は必至と考えられていたのだが、その雲行きが怪しくなり始めた。国会の会期延長が考えられても、山崎拓幹事長すら「郵政関連法案、健康保険法改正案の成立を図り、残る有事関連、個人情報保護の両法案は強行採決を避ける」と言明、有事関連法案の今国会通過に疑問が残る答弁を行っている。有事関連法案を巡る内外の動きを眺めてみよう。
■法案賛否勢力
有事関連三法案(根幹は『武力攻撃事態法案』。他に『自衛隊法改正』『安全保障会議設置法改正』)とはいったいどんな法案なのか? ひと言で言えば「有事の際に自衛隊を米軍の枠組みに入れて米軍支援を行う法案」となる。細部については興味のある方は原文をお読みいただきたい。いちばんわかりやすいのは、この法案に大反対を唱えている共産党のHP(http://www.jcp.or.jp/)かもしれない。
この法案に関し、たとえば右翼民族派陣営がどう考えているかというと、賛否両論あるようだ。「共産党が反対しているから賛成」という単純な発想もあるかもしれないし、「わが国軍が米軍の下に置かれるのは納得できない」と反対する者もいるようだ。共産党や社民党のように明確に反対を唱えるわけではなく、かと言って賛成に回るでもなく、何となく国会審議に任せているのが多くの庶民大衆の実姿のように見える。
ではこの法案は誰が積極的に推進したかというと、不明なのだ。……誰もいないというわけではない。小泉首相、山崎拓自民党幹事長等が比較的前向きに推した法案である。米国からの圧力があって、その結果として生まれた法案だと考えてよい。
野党である民主党の一部も賛成に回っているのだが、逆に、与党自民党のなかに積極的反対ではないが微妙に異議を唱えている勢力もある。野中広務(元幹事長)、古賀誠(国対委員長)あたりである。
野中広務は元来、警察が一元管理する国家像を理想と描いている。自衛隊の海外派兵にも消極的であり、不審船問題では自衛隊ではなく海上保安庁(警察)の出動が正しいと述べる。野中がなぜこれほどまでに自衛隊、軍隊嫌いなのかは不明だ。一説には、彼が熱望していた陸軍士官学校の受験を拒否されたことから軍隊嫌いになったためと言う。
たとえ与党内部に不協和音があろうと、数の論理で押し切って成立すると思われていた有事関連三法案だが、この法案に関する公聴会日程を野党欠席のまま議決したことで国会は混乱。そうした状況時、野中広務は、「与党単独で議決することがいいことなのか。(この法案に関しては)政府答弁で一致していない部分も多い」と不満を漏らした。直ちに領袖の橋本龍太郎も「あまりにも急ぎ過ぎている」と野中に呼応。この法案の今国会会期中成立にはこの時点で疑問符がつけられた。
■変態山拓
与党だけではなく野党の一部にまで賛成者がいる法案なのだから、本来は力づくで成立させることも可能なはずだ。それがここまでもたついたのは、成立に全力をあげるべき幹事長・山崎拓が醜聞で身動き取れない状況に追い込まれたことも一因となっている。
ご存じのように『週刊文春』による「山拓スキャンダル」はお茶の間ワイドショーの恰好の餌食となった。『週刊文春』の「元愛人の赤裸々手記」に対し、山崎拓は名誉棄損で東京地裁に訴えを起こしたが、文春側は自信満々だ。山崎拓幹事長の訴えに対し「出版社の名誉を傷つけられた」と逆提訴するほどである。
情報通によると『週刊文春』サイドは、「山拓の女性スキャンダルはまだまだ限りなくある。山拓が辞めるまで攻め続ける」と息巻いているらしい。
いったいこの山拓スキャンダルはどこから出たものなのか? 秘書給与流用疑惑で攻め立てられた田中真紀子あたりから流れたものなのか? そうではないようだ。永田町情報に詳しい業界紙の記者はこう語る。
「山拓の女遊びは誰でも知っています。それが大人の玩具を使ったとか変態的だとか、下ネタが好きな連中を大喜びさせる噂話もある。しかしそれを記事にできるかというと、よほどの情報源がなければできません。『週刊文春』はまだまだネタを持っていると言いますが、いったいどこからそんな情報を得るのか――。文春の編集長(木俣正剛)の父親は京都の市議を十二年も続けたといいますが、そのあたりからでしょうかねえ」。
京都といえば野中広務のお膝元。つまりこの記者は、野中サイドから『週刊文春』に情報が流れていると推測しているようだ。またこの情報通は、こうも語る。
「山拓は『週刊文春』の記事の出所を正確に知っているようです。だから相手が何を望んでいるかも熟知している。今のところは山拓が文春を告訴することで一応のバランスをとっているように見えますが、敵が本気で牙を剥いたらどうなるか、山拓自身がいちばん良くわかっている。まあ結局、山拓の負けということでしょうか」。
■杜撰な防衛庁の情報管理
有事関連法案成立に向けての動きが中盤に差しかかった五月末、有事関連法案と同時に個人情報保護法案に最も関係が深い部署である防衛庁に激震が走った。海上幕僚監部の三等海佐が情報公開請求者の個人的なデータ等を含むリストを作成し、幹部等がこれを閲覧できるようにしていた問題である。
このリストは、情報公開法が施行された昨年(平成十三年)四月以降に、防衛庁本庁や陸・海・空自衛隊に情報公開請求した百名以上の氏名、住所、請求内容やその他の個別情報(市民グループ、元自衛隊員、マスコミ関係、業者等々)が作成されたものだ。
この問題で防衛庁はリストを作成した三等海佐の免職等を検討し、事態の沈静化を図ったが、野党側はこれが組織ぐるみの関与だったと指摘、中谷元防衛庁長官の罷免を要求、有事法案審議などぶっ飛ばす勢いなのだ。
さて、この事件だが、本質的には二つの面を持っている。その二面が合体して意味不明の議論となって紛糾しているようだ。
一つは、防衛庁等の情報を請求した人物・団体の個別情報を作成したこと。これは実に当然の話なのだ。とくに防衛庁関係の情報を求める者のなかには、注意が必要な場合が多い。簡単に言えばオウム真理教(アレフ)、北朝鮮諜報員といった連中が情報公開を求めてくる可能性が非常に高い。もちろん彼らはさまざまな隠れ蓑を着て現れるだろう。そうしたリストを作成するのは、防諜の意味からも必然である。――いや少なくとも、情報請求者の実態リストを作らなければ防諜の意味がない。これは共通認識として必要なことなのだ。
ただし、である。リストを作成したことも存在することも、極秘でなければ意味がない。何があっても誰が訊ねても、知らぬ存ぜぬで通し続けなければ防衛庁も何もあったものではない。そうした意味で、エクセルでリストを作成しこれを閲覧できるようにした三等海佐は厳罰ものであり、そんな状況を生み出した防衛庁の危機管理意識には呆れ果てるばかりである。
かつてパソコンが行き渡った当時、防衛庁の幹部宛の極秘文書が庁内に出回った事件があった。メール閲覧されるべき「極秘文書」を、受け取った幹部がプリントアウト、それをプリンターから取り忘れたため、部署の者たちが回読した事件である。開いた口が塞がらない事件であったが、防衛庁の杜撰ぶりには今更ながら恐れ入る。
ただ、今回のリスト作成・公開問題は、時期が時期だけに、有事法案潰しの意図的策謀という感も否めない。三等海佐によるリスト作成・閲覧は、すでに昨年から防衛庁のかなりの者が認識しており、いつ表面化してもおかしくなかった。それが有事関連法案の審議入りという絶妙のタイミングで表出したのだ。
この記事は五月二八日の『毎日新聞』朝刊がスッパ抜いた特報である。毎日といえば誰でもご存じの通り「第二聖教新聞」と揶揄されるほど創価学会との密接な繋がりを持つ。学会との関係を考えると、ここでもまた野中広務の影がチラついてくる。
■非核三原則見直し発言
有事関連法案ほか重要法案成立に向けて国会審議日程が窮屈になりつつある五月三一日、記者会見後のオフレコ発言の場で福田康夫官房長官がこんな発言を行った。
「非核三原則は、今まで憲法に近いものだった。でも今は憲法も変えようという時代だから、国民が持つべきだとなったら、これは分からないかもしれない」。
この発言が『非核三原則見直し』論として国会が混乱。有事関連法案の成立どころか今国会での衆院通過さえ危ぶまれる状況にまでなってしまった。
「作らず持たず持ち込まず」の非核三原則は歴代内閣が何度も何度も明確に表明している絶対原則。この原則を見直すなどという政策の大転換をひと言でも発言すれば、内閣がぶっ飛んでしまうことは、政治家だけではなく日本中の誰もが知っている明々白々の事がらだ。それを、事もあろうに内閣官房長官が口にしたのだから衝撃は凄まじい。民主党の鳩山由起夫(代表)が福田官房長官の罷免を求めたが、それも当然の成り行きだ。
福田官房長官という人物は、珍しく平衡感覚に優れた政治家である。近年のわが国政治家は、ときに首相や外相までもが外交音痴で、海外から冷笑されることも多かった。ところが福田康夫は対米、対中、対露その他あらゆる複雑な外交局面で全体像を見渡し、国際感覚溢れた手腕を発揮してきた人物だった。それが、この非常識極まりない発言を行ったのだから仰天である。
本人自身は「憲法上の見解を述べただけであり、どう勘違いされたか知らない」と非核三原則堅持を強調しているが、この発言はわが国国内だけではなく世界中に衝撃を与えたようだ。六月九日『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「日本で核兵器のタブーが挑戦受ける」との見出しで第一面で報道している。
「中国の台頭や米国による安全保障の効果への不安から、一部の有力政治家が半世紀の平和主義政策を破って核兵器保有を検討し始めた」――。
ごく一部に異論を唱える者がいるだろうが、非核三原則はいわば日本国民の常識。核兵器を持とうと考える国民は、恐らく〇・一%も存在しないだろう。そうした意味から考えても、福田康夫発言は「呆気に取られるほどバカバカしい発言」だ。
だが、日本国民にとって常識中の常識である非核三原則も、アジアの周辺国には理解されていない。いや、日本の「平和憲法」に対してですらアジア各国は疑問符を持っている。戦後六〇年近い歳月を経てもなお、かつての日本の軍事力はアジア各国に恐怖心、畏怖心を残している。
■福田発言の真相を述べると、こうなる。
福田康夫の「国民が持つべきだとなったら、これは分からないかもしれない」発言は、じつはその前に週刊誌インタビューで安倍晋三官房副長官がミサイルや原爆に対して語った内容についての補足的、蛇足的弁明でしかなかった。ところが一部マスコミがこれを有事法案を初めとする重要法案潰しのネタに曲解して報道した。が、この報道は国会混乱という狙い以上に、東アジア諸国を凍りつかせるほどの「原爆的」衝撃をもたらした。
やっぱり日本の首脳たちは心奥で核武装を考えていたのだ――。
■外交
「外交とは平時の戦争である」。周恩来のこの言葉はまさに真実である。
外交とは、軍事力を背景にして国家と国家が争う戦争である。いや、現実には背景にしているのは軍事力だけではない。経済力、情報収拾力、防諜、宣撫、破壊工作、要人襲撃……その他もろもろの力を背景にして、国家と国家、勢力と勢力が戦うものだ。
二一世紀を迎えた現在、世界中のすべての国家、地域は熾烈な外交戦を展開している。好むと好まざるは関係なく、わが日本もその戦いの真っ只中にいる。ところが情けないことに、わが国は外交戦の背景として僅かな経済力しか保有していない。
その僅かな経済力に頼った外交戦にしても、非常に頼り無いものになっている。
わかりやすい例え話をしよう。
アジアの弱小A国に円借款を行うとする。それに対し野党が「なぜそんな小国に莫大なカネを出すのか?」と質問する。「実は円借款をさせておいて、数年後にはA国の廉価な労働力をすべて掌中に収め莫大な利益を得るつもりなのだ」と本音を語るわけには行かない。そんな本音を語れば、A国は排日運動を起こすだろうし、円借款も行われないだろう。
発展途上国にTV局を作り、その資金・人材等をすべて提供しようとする。「なぜそんな国のTV局設立に国税を投入するのか?」――。そんな質問にだって、本音を答えるわけには行かない。「じつは将来、この国の一般大衆を心理的制御するためにTV局を作っておくのだ」などと答えるわけにはいかないのだ。――そういえば話題が外れるが、日本初のTV局のNTVを作ったのは米CIAだったが……。
話題を外したついでに、北朝鮮に対する人道的「米支援」の零れ話をしておこう。テポドンを発射したり不審船を出したり、拉致問題に正対して答えようともしない北朝鮮に対し、人道的という名目でコメを出すのはよろしくないのではないか、といった批判がよく聞かれる。右翼勢力の一部などは、こうした問題に対して街宣活動も行っている。飢饉に瀕しているアジア人のためだから人道的支援はやむを得ないが、せめて謝礼ぐらいは行えというのが一般的な反応だろう。事実、橋本龍太郎内閣の時代に非公式にではあるが、北朝鮮に対して「感謝の言葉」を要求したことがある。ところがそのとき返ってきたのは、北朝鮮に対する人道的コメ支援により利益を得た日本の与野党政治家のリストと裏ガネの額総覧だったという。――「人道的支援だと言って謝辞を求めて来ますが、コメ支援は人道的でも何でもない。あなた方(日本人政治家)の懐を潤すための方策でしかない。なぜ北朝鮮がそれに対して感謝しなければならないのですか?」――。
これは外交戦の悪例である。与党どころか野党に至るまでの政治家が小悪党ばかりだから、ウラでこんなバカバカしい小金作りをやり、結果として国家に損害を与えている。しかし真っ当な政治家が真っ当に外交を行う場合も、やはりどこかで嘘を並べ真意を隠さなければならない場合が多い。
外交戦とは本音を語るわけにはいかない腹芸のような戦いなのだ。
真っ当に行うためには、国家・民族に対する忠誠心だけが頼りである。表面上や言葉上の疑問だけで判断できない。忠誠心を見分ける心眼が必要なのかもしれない。
■有事関連法案
有事関連三法案の内容とは何か。最初に述べた通り、ひと言で言えば「有事の際に自衛隊を米軍の枠組みに入れて米軍支援を行う法案」であり、それは枠組みだけ決められたザル法である。解釈の仕方でいくらでも変わってくる。こんな法案を精査すれば、誰でも疑問を持つ。非常に簡単に言ってしまえば、バカバカしい法案なのだ。
この法案、今国会での成立は非常に厳しいと考えられる。
バカバカしい法案なのだから国会を通す必要はない、とお考えになるかもしれないが、ちょっと待っていただきたい。
先進国で有事法を持たないのはわが国だけである。平和憲法の下、戦争を放棄しているのだから当然だと考えるかもしれないが、もし万一、どこかの国がわが国に戦争を仕掛けてきたらどうするのか? わが国にテロが起き非常事態となった場合、誰が何をするのか? 専守防衛をうたったわが国憲法下では、有事とはすなわちわが国土の中における戦いとなるのだ。
それだけではない。いや、そんな机上論、常識論を述べている場合ではない。今回の有事関連法案がいったい何故この時期に浮上してきたのか? 国際情勢を把握した上で考えてみる必要がある。
本紙上でたびたび分析し主張してきたことだが、米軍による北朝鮮攻撃は切迫している状況にある。米側としてみれば、北朝鮮が自壊していくことが最善であり、難民流出や国内破壊活動等を演出することにより、自壊の方向を築きつつある。しかしそれでもなお北朝鮮・金正日王朝が存続するとなれば、北爆は必然となる。その最終期限は今秋の米中間選挙の動向にも左右されるが、ブッシュ大統領在任中であることは間違いない。
「有事とはどのような状態を指すのか」、「誰が有事と判断するのか」――。それすら不明確な今回の有事関連法案。だからこそ、米側の求めに応じてこれを通す必要があったのだ。いわばこれは外交戦の延長にある法律である。信頼できない政治家に任せる不安は拭いきれないが、それでも通す必要があった。
もし有事関連法案が流れたらどうなるか――。
鈴木宗男、辻元清美、田中真紀子と続いた疑惑。山拓醜聞、防衛庁リスト流出……。この一連の流れを見てもわかるだろうが、米側による政界・官界攻撃は一段と激しくなるだろう。確かにわが国の政・官界は腐敗の極みにある。だからと言ってこれを破壊すれば、ますます国家が衰退する。首相交代のたびに弱小化していったこの国の現状を見ればそれが理解できるだろう。今は歯を食いしばって耐え、僅かずつでも国家を再生させなければならない。微かではあるが、国家再生の蠢動が見え始めている。
しかし政・官攻撃だけなら、まだ救われるかもしれない。
半島情勢がさらに緊迫の度合いを強めたら――。その時が最も怖い。
恐らくは北朝鮮によるテロ活動が意図的に誘発されるだろう。
有事関連法案は、法律の中身の問題なのではない。大衆を守るためにどういった姿勢が必要かという対外的意志表明として通過させる必要があったのだ。
⇒インターネット行政調査新聞
ttp://www.gyouseinews.com/domestic_prospect/jun2002/002.html