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神戸児童殺傷:少年の捜査に疑問 弁護士が自らの告発求める
「裁判官よ、私を告発せよ」。神戸市の小学生連続殺傷事件で、中等少年院に収容中の少年(19)の捜査に疑問を持ち続けている弁護士の後藤昌次郎さん(78)=東京弁護士会=が22日、こんな内容の郵便を裁判官に送った。違法な手続きで少年に自白させたとして警察官らを告発したが、訴えを裁判所で全面的に退けられた。「それなら、自分を虚偽の告発をした疑いで告発すべきだ」という異例の挑戦状だ。
後藤さんは、71年の「日石・土田邸爆破事件」をはじめ、多くの冤罪(えんざい)事件を手掛けてきた。
神戸の事件では、97年10月の神戸家裁決定を見て疑問を持った。少年が書いた作文と犯行声明文の筆跡が「同一人物のものと判断するのは困難」という鑑定結果だったのに、取調官が一致したように説明して少年が自白したため、この調書が証拠から排除されたことが書かれていた。
98年10月に「捜査の過程を明らかにしたい」と、取調官らを検察当局に特別公務員職権乱用容疑で告発したが、「嫌疑なし」で不起訴に。このため、取調官らを公開の法廷で裁いてもらうよう裁判所に求め(付審判請求)、最高裁まで争ったが退けられた。
「万策尽きた」と思ったが、4月末に刑事訴訟法を何となくながめていた際「公務員は罪があると思われたときは、告発をしなければならない」という内容の条文に突き当たった。「取調官らに全く罪がないのならば、告発した自分は虚偽告発罪に当たる。裁判官は告発しなければならない」。虚偽告発罪は3カ月以上10年以下の罪。付審判請求にかかわった裁判官全員に、告発を求める内容証明郵便を送った。
「大半の人の中で、少年の犯行ということで決着している。でも、不可解な点があることを埋もれさせたくない」。後藤さんは取調官らを近く、検察当局に再告発する意向だ。
[毎日新聞5月22日] ( 2002-05-22-15:01 )