これまで、雪印食品「牛肉詐欺事件」の発覚以降報道された内容に基づき、「未検査牛肉買い上げ政策」が農水省と食肉販売業界が一体となって国費を詐取したものであるのみならず、建前とは違って国民の健康をないがしろにして利益拡大をはかろうとしたものだと書き込んできた。
※ 参考書き込み
『『雪印牛肉詐欺事件』報道で見えた未検査牛肉補助金支払いの“からくり”とハム・ソーセージ原材料への流用の可能性/《なぜ『雪印』が狙い撃ちにされたのか》』(2002・1・28)
http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/461.html
『【農水省も共犯の雪印牛肉詐欺事件】厚顔無恥とウソの上塗りを続ける農水省と関連業界』
http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/634.html
まず、本日(4・19)付けの「読売新聞」の記事を読んで欲しい。
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農水省のBSE対策、無駄な助成50億円 [読売新聞]
BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)対策として国が始めた国産牛肉を市場から隔離する事業で、農水省が、すでに冷凍保存されていた牛肉にまで冷凍保管によって価値が下がる分の補てんを約束し、全体で不必要な予算が約50億円に上っていたことが18日、明らかになった。買い上げを決めた牛肉の約9割がすでに冷凍済みだった。
この事業は、消費者の不安払拭(ふっしょく)と、食肉牛の全頭検査が始まった昨年10月18日以後の牛肉を円滑に流通させることを目的に、全頭検査前の牛肉を市場から隔離する事業としてスタート。その後、消費の落ち込みが回復しないことから同年12月に国が買い上げて焼却することが決まった。
実際の買い上げは同省所管の特殊法人「農畜産業振興事業団」が実施主体となり、全国農業協同組合連合会(全農)や日本ハムソーセージ工業協同組合など6つの業界団体が全国から集めた1万2626トンの牛肉が対象となった。
同省は、最初の隔離事業の過程で、集めた牛肉を冷凍保管する際に、冷蔵の肉に比べ価値が落ちる分として1キロあたり378円を補てんすることを決めた。しかし、実際には全体の9割が元々冷凍された肉だったことがわかった。
(4月19日04:27)
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「読売新聞」は、見出しでわかるように、農水省がBSE対策で無駄な助成を50億円も行ったという主旨で記事を書いている。(見出しは記事を書いた記者が隠れ蓑として使ったのだろう)
しかし、“無駄な助成”は、「農水省と業界が仕組んだ欺瞞」という根源的な問題から派生したことでしかなく、この記事自体がそのような実態を物語るものである。
昨年9月10日にBSE罹患牛が見つかり“大騒動”になった事態を受け、農水省は、国民の不安を取り除き牛肉流通の安定化を図るために、「未検査牛肉」を買い上げて市場には二度と出ないようにすると言明した。
「未検査牛肉対策」は、“買い上げ”と説明され、“価格補償=非買い上げ”で行うという説明はなされていない。
記事のなかから、「未検査牛肉の流用」と「価格補償=非買い上げ」という
● 農水省及び食肉販売業界は、「未検査牛肉」の流用を企図していた
>農水省が、すでに冷凍保存されていた牛肉にまで冷凍保管によって価値が下がる分の
>補てんを約束し、全体で不必要な予算が約50億円に上っていた
二度と市場に出さない牛肉に関して、どうして、保管方法の違いで価値が下がるという問題がテーマになるのか。
これは、当初、農水省と食肉販売業界が、“生肉”としてではないだろうが、「未検査牛肉」をハムやソーセージなど加工用に流用する考えを持っていたことを示すものである。
それは、「実際の買い上げは同省所管の特殊法人「農畜産業振興事業団」が実施主体となり、全国農業協同組合連合会(全農)や日本ハムソーセージ工業協同組合など6つの業界団体が全国から集めた1万2626トンの牛肉が対象となった」という記事内容からも指摘できる。
● 農水省は、「未検査牛肉」を買い上げていない
>この事業は、消費者の不安払拭(ふっしょく)と、食肉牛の全頭検査が始まった昨年
>10月18日以後の牛肉を円滑に流通させることを目的に、全頭検査前の牛肉を市場
>から隔離する事業としてスタート。その後、消費の落ち込みが回復しないことから同
>年12月に国が買い上げて焼却することが決まった。
「農水省が、冷凍保存されていた牛肉にまで冷凍保管によって価値が下がる分の補てんを約束」や「冷蔵の肉に比べ価値が落ちる分として1キロあたり378円を補てんすることを決めた」とあるように、「未検査牛肉」は買い上げられたわけではなく、価格補償されただけである。
「未検査牛肉」の所有権と保管場所は変わることなく、ただ、補助金が支払われたのである。
このように、雪印食品に端を発した「牛肉詐欺事件」は、農水省が打ち出した「未検査牛肉買い上げ政策」の構図と仕組みを明らかにしない限り、問題点も見えなければ、責任も追及できないものである。
個々の企業の詐欺や不正を追及することも重要だが、農水省の根源的な“犯罪”を明らかにしなければ、食の安全を追求することもできなければ、無駄をなくす「行政改革」もできない。
■ 「未検査牛肉買い上げ政策」とは何だったのか
これが根源的な問題である。その構図と仕組みを国民の前に明らかにさせなければならない。
■ 焼却処分は行われているのか
記事にもあるように「国が買い上げて焼却することが決まった」そうだが、元々の「未検査牛肉買い上げ政策」とは齟齬をきたすはずである。
所有権は元々の企業にあるはずだから、国は、焼却するために、本当の買い上げをしなければならない。
それは、どのような仕組みと手順で行われたのか?
そして、焼却処分は、どのように行われ、どの程度まで進んでいるのか?
平気で税金をばらまく農水省であれば、焼却処分のための買い上げを通じて、またまた、企業に金をばらまきかねない。
■ “国際基準”の検査結果はどうだったのか
雪印食品の「牛肉詐欺事件」が発覚した後、不正がないか国際基準で検査すると農水相は言明したが、その検査結果はどうなっているのか
■ 詐欺の上塗りである「非対象肉」や「冷凍肉」への“過剰”補助金は戻されたのか
「農水省が、冷凍保存されていた牛肉にまで冷凍保管によって価値が下がる分の補てんを約束」したというから、冷凍肉であったものを冷蔵肉でこれから冷凍するように見せかけて過剰な補助金を受け取った企業を詐欺罪で告発することはできないだろうが、“間違い”で支払われた50億円は、国庫に返還されるべきものである。
「読売新聞」の記事のように、「無駄に使った」では済まない問題である。
武部農水相は、BSE発生の責任ではなく、このような「未検査牛肉買い上げ政策」を行った罪で、大臣を解任され議員を辞職するとともに、法廷で裁かれなければならない人物である。