日本初の巨大地震予知に向け、東海地域には世界に例のないち密な観測網が張り巡らされている。1970年代に「東海地震説」が発表されてからおよそ四半世紀。海底の地殻変動をリアルタイムで伝える海底地震計、地中の動きを把握する傾斜計やひずみ計、水位を見張る検潮計や地下水位計など、これまで整備された観測機器は、計約360に及ぶ。
東海地震はフィリピン海プレートが、日本列島を乗せたユーラシアプレートの下に潜り込む境界部分(海溝)で発生する。蓄積されたひずみが限界を超えると、100-100数十年周期でユーラシアプレートの先端が一挙に跳ね上がり、大地震につながる。前回1854年の安政東海地震(マグニチュード8・4)以来、148年がたち、「いつ起きてもおかしくない地震空白域」と指摘されてきた。