06/22 23:25 無防備な家、跡形なく崩れ　まだ多数が生き埋めに　　外信86

　【アブダレ（イラン北西部）２２日共同＝折坂浩史】跡形もなく
崩れ落ちた家々。突然の惨事にただぼうぜんと立ちすくむ犠牲者の
遺族ら―。二十二日朝、イラン北西部カズビーン州などを襲った地
震は、小さな村々を木っ端みじんに破壊し、平和な農村の暮らしを
奪い取った。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　同州南部にある人口約二百三十人のアブダレ村。中心部の小高い
丘の斜面に立つ計五十戸の家々は、がれきの山と化していた。　　
　がれきの山を一台のブルドーザーが掘り起こし、生き埋めになっ
ている人々を捜索する。地震発生から約九時間たった同日午後まで
に計三十五遺体が見つかった。まだかなりの村人が生き埋めになっ
ているとみられるが、捜索は進んでいない。　　　　　　　　　　
　ラヒム・モハマディさん（４５）は、家の近くの畑で農作業をし
ていた際に、地震に遭った。「突然大きな横揺れに襲われ、その後
、縦にも揺れた。戻ってみると、村は完全に壊れていた」と語った
。家の中にいた十五歳と十歳の娘二人が死んだ。地震の際、家の中
にいた人と外にいた人とで明暗を分けた。　　　　　　　　　　　
　家屋はすべて土れんがでできており、地震に対してはあまりに無
防備な造りだ。比較的新しい鉄筋造りの電話局の建物と、公衆浴場
だけが村に残った。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　道端では、発見された遺体に村人が祈りをささげ、遺族のすすり
泣く声が聞こえる。遺体は村の小高い丘の墓地に運ばれ、掘ったば
かりの穴に次々と埋葬されていく。　　　　　　　　　　　　　　
　村を訪れたマスード・エマミ同州知事は、あまりの惨状にがくぜ
んとした表情を見せながら、残された村人にテントや食料の配給を
約束した。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　村人の一人は「この辺りにはオオカミがいて、夜になると村人や
残された遺体を襲うかもしれない」と訴え、知事に対策を求めてい
た。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　被災地は、なだらかな丘陵地帯。近くの町まで車で三十分以上か
かる。けが人は救急車で町の病院に運ばれるか、村で救急隊の応急
処置を受けていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　知事によると、同州の少なくとも八村がアブダレ村と同様に壊滅
状態。これ以外にも約五十の村が大きな被害を受けたという。　　

（了）　　０２０６２２　２３２４　　　　　　　　　　　　　　
[2002-06-22-23:25]

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