東海地震、早期発生説有力に、「来年」「2005年まで」――複数研究者らほぼ一致

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投稿者 2001.10.29 日本経済新聞 日時 2001 年 10 月 31 日 10:36:18:

東海地震、早期発生説有力に、「来年」「2005年まで」――複数研究者らほぼ一致

 静岡県付近を震源とする東海地震が早ければ来年、遅くとも二〇〇五年までに起きるという見方が専門家の間で有力になってきた。複数の研究グループが異なる解析結果をもとにほぼ同時期の地震発生を予測、二十六日まで鹿児島市で開いた日本地震学会で相次いで発表した。発生時期の正確な予測は難しいが、より細心の観測・警戒体制が必要となりそうだ。

 名古屋大学の山岡耕春助教授らは、国土地理院が七月に緊急発表した地殻変動異常のデータを分析、二〇〇二年中ごろが東海地震発生の要注意時期との結果をまとめた。

 地理院が発表した異常データは、想定震源域の御前崎近くから名古屋にかけて、これまで一定速度で北西に移動していた地殻の動きが今年に入って鈍り始め、一部では正反対の南東方向に移動し始めたという内容だった。

 山岡助教授らは浜松のデータについて一九九六年分から解析。周期的な変動要素などを取り除くと、最近になって加速度的に変化している動きがあることを突き止めた。この動きは二〇〇二年半ばには無限大の大きさになり地震が発生することが予想され、これが東海地震の引き金になる可能性があるという。

 一方、防災科学技術研究所の松村正三副部門長は想定震源域で起きている中小・微小地震の解析をもとに、東海地震は二〇〇五年までに発生する可能性が高いと発表した。

 微小地震の発生頻度は昨秋まではいったん沈静化し、その後増加に転じるなど変動しているが、中小・微小地震のエネルギーの総和を計算したところ、一九八〇年以降、年を追って着実に増え、その増え方は、近年特に著しいことがわかった。松村副部門長の解析によると、解放されるエネルギーが無限大になる時期、つまり東海大地震が起きるのは最も遅いケースで二〇〇五年だという。

 この予測は東京大学の五十嵐丈二助教授が今春の学会で発表した静岡県御前崎の水準点の変動を解析して求めた東海地震の発生時期(二〇〇四年二月の前後約十カ月)ともよく合う。

 東海地震については二〇三五年前後に発生が予想される東海地方西部沖から四国沖をそれぞれ震源とする東南海・南海地震と連動して起きるとの見方もある。過去千年以上の地震記録では、東海地震は東南海・南海地震と同時に起きる場合がほとんど。

 ただ、観測データを使った解析では、東海地震発生を二〇三〇年代まで先送りする結果は得られておらず、早期発生説が有力になりつつある。山岡名大助教授の「二〇〇二年発生説」に関連しては、別の名大グループが「同様の異常変動が八一年と八七年にもあった可能性がある」と学会発表。今回も地震発生コースから外れる可能性も残っており、専門家は今後の地殻の動きを注視している。

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