竹中経済財政担当相は、月例経済報告関係閣僚会議後に、デフレ対応策について、月内をめどに取りまとめるよう関係閣僚に指示があったことを明らかにした。その中で、資本注入など具体策の話はなかった、と述べた。
会議終了後の会見で述べたもの。
首相の正式な指示を受けて、竹中経済財政担当相は、(1)不良債権処理の一層の促進、(2)金融システムの安定化、(3)資本市場対策、(4)セーフティネットとしての中小企業への貸し渋り対策、(5)金融政策の一層の活用−−など、5つの分野でデフレ対策を強力に進めたい、と述べた。
このうち、首相指示で「デフレ克服に向けて、思い切った金融政策をお願いしたい」と日銀への期待が示されたことについて、”現行より踏みこんだ金融政策を求めているのか”との質問に対し、竹中経済財政担当相は、「不良債権処理促進や資本市場対策、中小企業の貸し渋り対策に対して、常に金融緩和をやっている。これら全てにおいて、一段と踏みこんだことを考えろとの総理の指示と理解している」と述べた。
また、”公的資本注入など具体策の指示はあったのか”との質問に対して、「総理からは、具体的にああしろ、こうしろという話はなかった。政策の中身についての詳しい話はなかった」と述べた。
今後の段取りについては、各省庁で検討を開始してもらい、必要に応じて、経済財政諮問会議の日程組みかえを含めて検討を急ぎたい、と述べた。さらに、竹中経済財政担当相は、「月内をめどに早急に検討を行うが、すぐに実施に移せるものは、月内をまたず(実施に)移していく」と述べた。
ブッシュ米大統領の来日を前に具体策の概要をまとめる可能性については、「検討の経過は頻繁に、総理に伝える。米大統領の来日とあわせて(何かをまとめる)ということではない。必要なものは、総理にあげ、それを説明されることになるだろう」と述べた。
一方、月例経済報告関係閣僚会議での議論の概要については、「現状の資産デフレに関して、金融政策の一段の強化を求める声が閣僚・関係者からあった。また、雇用情勢が大変厳しい。日銀はゼロインフレになるまで金融緩和を続けるではなく、もう少し高いところにおくべきだとの指摘もあった。金融仲介機能の低下に対する声があった」と説明。
日銀に対する要望が相次いだことに対して、速水日銀総裁は、「日銀としては出来ることを目一杯やっている。金融仲介機能がとどこおっているわけで、構造改革をすすめることで、金融政策の効果が生じる」と答えた、という。