東京海上火災との統合前倒しが白紙撤回となった朝日生命が、生き残りをかけてリストラを加速させる。内勤職員約6300人のうち1000人を今後2年間で削減するほか、証券化の手法を活用して本社ビルを売却。さらに、保有株式の売却なども進めるという。朝日生命は、第一勧銀など3行に対し合計1000億円超の基金調達を要請しているだけに、抜本的なリストラを行うことで、銀行などの支援を取付けたい考えだ。
朝日生命は、超低金利下で年間1400億円に上る逆ザヤが生じているうえ、株価急落により約5000億円の有価証券含み損を抱えるなど経営内容が弱体化。顧客解約数も増加したため、昨年11月、当初の計画を1年前倒しし、同じミレア保険グループの東京海上火災と平成15年3月に統合することを発表した。
しかし、統合を嫌気して東京海上火災の株価は急落。統合条件や将来の生保戦略像も一致せず、先月この前倒し案を撤回=写真。結局、当初計画どおり、16年に持ち株会社の下での経営統合を目指すことになった。
この結果、当初、見込まれていた東京海上からの基金拠出など信用補完策も見送られることが決定。当面、同社は単独での生き残りを迫られ、リストラによる収益力強化が不可欠となった。
今回、策定しているリストラ案では、約6300人の内勤職員を、今後2年間で1000人削減。また証券化の手法を用い、東京・新宿の本社ビルや都心の複数の自社ビルを売却。さらに、今年度中に約5000億円の売却を設定していた保有株式についても、3月末までにさらに1000億円を追加。事業内容も、不振の企業向けを縮小し、個人向けの保険分野に営業力を集中するという。
同社としては、リストラを進めることで、主力行の第一勧銀、さらに大和銀、あさひ銀などの理解を得て、計1000億円超の基金拠出に道筋をつけたい考えだ。