ブッシュ米大統領の来日を17日に控え、小泉内閣は今週中にデフレを克服するための総合対策をまとめることになった。対策の柱は不良債権処理の促進など4分野で、とっくに取り組んでいるはずの変わり映えしないものばかり。ブッシュ来日に合わせた“お土産”的要素が強い対策に、経済界からは「新味がない」「対策の検討ばかり繰り返し、いつになったら目に見えるのか」とブーイングの嵐が巻き起こっている。
政府は12日、経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)を開き、先週末の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で“国際公約”となったデフレを克服するための本格的な検討を始めた。
同会議の“かじ取り役”である竹中平蔵経済財政担当相は対策の柱として、(1)不良債権処理の促進(2)金融システムの不安解消(3)株式市場などの活性化(4)中小企業向け金融のなどセーフティーネット(安全網)の整備−の4分野を挙げた。
この内容について、経済界からは、「ブッシュ来日に合わせて何かブチ上げざるを得ないだろうとは思っていたが、こんな内容では…」とタメ息が漏れた。
「そもそも不良債権処理の促進は、昨年から日本の“国際公約”になっていたこと。それを今になってまた検討するというなら、政府は今まで何をやっていたのか、となる。政府が対策を口先で唱えるだけで問題を先送りしようとするから、海外の格付け会社は日本国債の格付けを引き下げ、外国人投資家は日本の銀行株などを売り浴びせたのではないか」(外資系証券アナリスト)というのが、内外の経済界の一致した見方なのだ。
加えて、不良債権対策では「不良債権処理を進める銀行に対する公的資金の再注入」が大きな焦点になるが、こちらも過剰な期待はできそうもない状況だ。
「公的資金の注入は平成11年にも行われているが、結局、息絶え絶えのゼネコンの借金棒引きに使われ、延命させただけ。この延命で、ゼネコンを取り巻く状況は悪化しており、税金をドブに捨てたも同じ状態になっている」(民間信用調査機関幹部)
株価対策にしても、政府が不良債権問題を本気で進めようとしないからこそ、東京証券取引所の取引の過半数を占める外国人投資家が売り浴びせ、株価対策が必要になるという悪循環をたどっている。
ブッシュ大統領は就任以来、繰り返し日本発の金融危機を回避するため、不良債権処理の加速を迫ってきている。17日に来日し、翌18日に日米首脳会談に臨む大統領は、どんな思いで小泉首相の説明を聞くのだろうか…。