(回答先: 日本の格付けに関する決定は1〜3カ月以内に行う=ムーディーズ幹部[東京13日ロイター] 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 2 月 13 日 15:31:36)
<UFJパートナーズ投信シニアストラテジスト 宮崎高志氏>
ムーディーズが日本国債を格下げ方向で見直すと発表したが、これが国内投資家の日本株への投資スタンスに影響を与えることはないだろう。しかし、海外投資家にとっては、日本のクレジットが下がることになり、さらに格付けが下がるようなら日本株に対する見直しの動きを加速させることになるだろう。
これまで、外国人投資家の間には、世界景気が循環的な回復に向かうなかで、パフォーマンスの点からアジア株、とりわけ流動性などを勘案して日本株を買う動きがあった。しかし、このところ、欧州系の投資家を中心に日本株に対する見直しが起きており、さらに大きく格付けが下がるようだと日本株を見限って他のアジア株にシフトする可能性がある。
また、国債を大量に保有する銀行の株価に対しても、3月末に向けて悪材料になる可能性がある。また、銀行株については、不良債権処理をにらんで公的資金注入を求める声も市場の内外から出ている。しかし、公的資金を注入しても、一時的な銀行株の反発はあるだろうが、デフレ環境が変わらなければ不良債権は再び発生する。このため、銀行株は、極端な金融システム不安などで突っ込んだところでは買えるが戻った局面では素早く売るというトレーディングセクターの位置づけにならざるを得ない。
さらに、国債格付け見直しの一方で、市場では積み上がった流動性を背景に将来的なインフレを懸念する声が出ているが、その可能性は低いと考えている。外国人投資家が国債を売っても、日本の金利水準を大きく押し上げるには至らないとみており、大量の債券を保有する銀行が金利の行方を決めることになるだろう。しかし、銀行は、運用難のなかで国債投資を大きく減らすことは難しそうだ。
銀行が債券投資を大きく減少させるためには預金がかなり落ちなければならないが、日本の預金者の性格を考えると極端なシフトは考えにくい。よほど強い円安へのコミットメントがあれば外貨預金に向かう可能性もあるだろうが、現状では難しいだろう。マネーフローの点からは、インフレの可能性は小さいとみている。