ユニクロを展開するファーストリテイリング<9983>が相変わらずの不人気を託っている。定番商品のフリースによる神通力はすでになく、1月の売上高(既存店)が前年同期比35%減と大幅ダウンしたためだ。「機関投資家の処分売りが終わっていないため、潜在的な売り圧力が強い」(準大手証券)ことから、株価は下げトレンドから脱出できないようだ。
●機関投資家が売り時逃す
1月の売上高急減を受けて2月4日、株は一時ストップ安まで売られた。機関投資家を顧客に持つ外資系証券の大量売りが目立った。市場では「個人が投げるのならともかく、まだ外していないファンドがあったとは」(同)と、売り上げの減少よりもプロが同株を持ち続けていたことに驚きの声が上がった。
同社が1月に下方修正した業績見通しでは、昨年9月からの半期で売上高が前年同期比で2割減の見通し。1月までの売上高累計は2割減と、ほぼ予想通りだったが、予想で売られ発表で売り直される悪循環となった。
●自社株買いも効果なし
同社は年明け早々に業績を大幅に下方修正し、株価が大暴落したばかり。1月10〜23日にかけて、54億7000万円あまりを投じて自社株80万株を買い付けた。平均単価は6841円ほどだ。しかし、投資家は先を争うように売り注文を出し、株価は10日寄り付き8550円から23日終値6130円まで、3割近く下落した。自社株買い付け枠は残り40万株だが、株価の下支え効果は薄いようだ。
●アナリストに反発も
同社は月次売上高を月が替わるとすぐに公表するなど、業績データの即時開示には定評がある。さらに、有利子負債はわずか70億円(2001年8月期末・単独)と、財務体質は強固だ。
しかし、同社を担当した経験のあるアナリストからは「IR担当者の応対がぞんざいで、不親切だった」などと不満の声も聞こえる。1月には業績下方修正を隠したまま新規事業について社長会見を開くとアナウンスして市場をミスリード、強い批判を浴びたばかりだ。アナリストやマスコミと同社の感情的な隔たりが、株価に悪影響を及ぼしているともいえそうだ。2月の売上高は3月1日大引け後にも発表される見通しだ。
(半沢 昭悟)