フランス銀行(中央銀行)のジャンクロード・トリシェ総裁は、米国と欧州の経済について、最近の減速傾向から底を打ちつつあるという兆候が見られる、との見解を示した。
英ロンドンでの会合で同総裁は、「現在の状況に関して言えば、われわれは慎重かつ警戒的な姿勢を続ける必要がある。米国、そしてわが国(フランス)を含む欧州については、底打ちしつつある兆候もみられる」と述べた。
そのうえで、「欧州の強いファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を考えれば、欧州での経済回復の訪れが米国ほど早くないという見方の根拠は全くみられない」と付け加えた。
トリシェ総裁は、現在の状況においては、主要な成長のけん引役となっている消費者信頼感や需要とともに、欧州中央銀行(ECB)の物価安定維持能力に対する信認を維持することが重要である、と述べた。
また、年初から始まったユーロの現金流通について、悲惨な結果におわるとの事前予想は誤りだったことが明らかになっている、とし、「ユーロ通貨への転換は、単に技術的な成功にとどまらず、真の人気による熱が伴なってきたものである」と述べた。