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ペイオフ対策の資金分散先として、金投資の人気が高まっています。前回の「金&金投資の基礎」に続き、今回は「金取引の方法」について詳しく解説します!
■ 金地金取引
ペイオフを控えて、金をまとめ買いする人が増えてきています。地金は、田中貴金属工業グループや、地金商の店頭のほか、銀行、証券会社、鉱山会社などで買うことができます。表面には刻印があり、国内の主要8ブランドは、ニューヨークやロンドンの金市場で公認されていて、海外でも換金できます。店によっては他社の刻印の金を買い取らないので、買うときに確認することが大切です。
例えば2月7日のA社の小売価格(消費税込み)は、1キログラム=139万9650円。昨年11月の安値より約18%ほど高く、1998年10月以来の高値圏となっています。
一方、同日のA社の買い取り金額は、1キログラム=133万7000円。A社の場合で、売り買いの往復のコストは約4.5%ほどです(注1)。地金は売買価格差や手数料が大きいので、短期間で売買益を確保するのは難しいということがわかります。店頭で持ち込んで換金する場合、1グラムあたり40〜60円ほど安い価格になるのが一般的です。
1本500グラム未満の延べ棒の売買には、「バーチャージ」という手数料が別途かかるので、ますます割高になります。延べ棒1本あたり2000〜5000円程度かかります。
(注1)金や金貨の価格や手数料などは、取り扱い会社ごとに異なりますので、文中のパーセンテージの数字は目安とお考えください。詳細は、購入予定の各店舗でお問い合わせください。
■ 地金型金貨
バーチャージがかからず、小口買いをしたい人の人気を集めているのが「地金型金貨」です。カナダ王室造幣局発行の「メイプルリーフ金貨」や、オーストリア造幣局発行の「ウィーン・ハーモニー」が代表選手。
2月7日、A社のメープルリーフの小売価格は1オンス(約31グラム)で4万7124円。一方、買い取り価格は1オンス=4万3896円。売り買いの往復コストは約7%です。売買の価格差は金貨が小さくなるほど大きくなります。
金貨の場合は、このように買い取り価格と小売価格の差が大きい場合が多く、地金以上に売買益の確保が難しくなる点に注意が必要です。1回の投資が500グラム以上なら地金を買って、それ以下なら金貨、という方法が、おすすめ。
また今注目のワールドカップ金貨などの記念金貨は、発行枚数や収集家の人気、デザインなどで値段の変動がさらに大きくなります。記念金貨は投資というより趣味の対象として考えたほうがよいでしょう。
■ 金の先物取引
金の先物取引の売買単位は1キログラム。あらかじめ1キログラムあたり6万円の証拠金をおさめれば、売買に参加することができます。小額の資金で高い投資効率を狙える反面、予想に反した値動きになれば短期間で大きな損を被る危険のある、「超ハイリスク・ハイリターン商品」です。
買いと売りのどちらからでも参加でき、決済日までに反対売買を行います。ただし買いの場合は、商品の現物を引き取る「現引き」という方法があるので、値下がりしたら資産として金を保有して金価格の上昇を待ちます。あわてて回転売買にはまるのは禁物です。売り注文は、現物を売り渡して決済することができます。
B社の場合は2月7日の買いの清算金額が129万円に対して、売りは約127万9000円。往復のコストは約1%(精算額ベース。ただし証拠金に対しては18%となります。)。やり方次第では、少ない資金と手数料で大きくお金を殖やすことができます。
ただし先物取引業者と接するだけでも、素人にとってはある意味「リスク」を背負うことになります。自分の当初の取引以外の勧誘をキッパリ断れるという自信と覚悟のない方にはお勧めできません。
先物取引のポイント
1.できれば株式を公開している会社で取引を。
2.1キログラム単位で売買しましょう(10キログラムなら証拠金は60万円ですが清算金額は1300万円以上にもなります。いざとなったら現引きできる範囲での取引を)。
3.現引きに確実に応じてくれる会社と取引を。取引前に文章で確認すること。
4.できれば「日本商品先物取引協会」で会社のチェックを。窓口やホームページで、業者の内容や過去の苦情件数etcなどについて調べることができます。
■ 純金積み立て
個人にとってもっとも馴染み深いのが「純金積み立て」。毎月の積立金額は3000円程度からと手頃。毎日一定額分の金地金を購入し積み立てるしくみです。安いときには少量、高いときには多く買い付けていく、ドル・コスト平均法という投資手法をとるので、高値づかみのリスクを減らすことができます。
頻繁に買う手間がかかるので、1000円につき25円程度の手数料がかかり、またその他に1口座あたり800〜1000円ほどの年会費がかかるので投資効率は低くなります。
購入に関しては、積み立て以外に一時的に買い付け料を増やせる「スポット購入」が手数料無料でできます。金価格が割安と判断したら、スポット購入すれば投資効率があがります。
1ヵ月後から自由に解約できるのが一般的で、解約時には買い付けた量の金地金を受け取ることができます。その他に(1)現金、(2)金貨、(3)ジュエリーなどと交換できる楽しみもあります。女性は投資よりジュエリーとの交換が楽しみで、続ける人も多いようです。
取り扱い会社により、年会費、手数料、スポット購入制度の有無、交換商品の種類などが異なるので、始める前に比較検討することをお勧めします。
純金積み立てのメリット&デメリット
メリット
1.小額で手軽に始められ、流動性もある。
2.ドル・コスト平均法の投資手法なので自動的にリスクを抑えられる。
3.コイン・ジュエリーなどにも交換できる。
デメリット
1.手数料が割高。
2.金そのものは利息がつかない。
3.金の価格変動リスクがあるので、元本割れの場合も。
全世界の人々が希少性を尊重し続けてきた「金」。上手に利用してペイオフを乗り切り、また資産運用に活用していきたいものです。
AFP 伊藤 美和
提供:株式会社FP総研