長期化するデフレに対応するため政府が検討を進めるデフレ総合対策の骨格が12日判明した。主要行による不良債権処理の促進と、金融危機の場合は政府による公的資金の再投入など金融システム安定化策を掲げるとともに、日銀への思い切った金融緩和の要請など5項目が柱。小泉純一郎首相は13日にも関係閣僚に具体化を指示する。ただ、不良債権処理をどの程度、強化・早期化するかは調整中で今後の焦点となる。
骨格は(1)不良債権処理の促進(2)金融システムの安定(3)資本市場対策(4)中小企業の貸し渋り対策等(5)金融政策――で構成。不良債権処理では主要行に対し、融資先の問題企業の再建策策定を求める。市場が評価する内容とすることが前提で、そうでない場合は不良債権として速やかな処理などを要請する。また、金融システム安定では、金融危機の恐れがある場合、躊躇(ちゅうちょ)することなく銀行に対し公的資金を投入することを求めるなどを掲げた。このほか(3)で株価対策、(4)で政府系金融機関などを活用した金融支援を想定している。
不良債権処理の具体策について内閣府は「現在の政策の延長線での処理では、企業への資金供給が詰まった状態となっている金融の機能不全は解消しない」として、処理の強化・早期化による問題の終結を求めている。一方、金融庁は慎重な姿勢を示しており、溝は埋まっていない。このため、政府は小泉首相の指示を受けて最終調整を図る。小泉首相は、来週の日米首脳会談でブッシュ米大統領に同対策を説明する方針だ。 【白戸秀和】