竹中経済財政担当相は、デフレ対策としては、不良債権問題の解決加速と金融政策がひとつのパッケージとして重要である、と述べた。
経済財政諮問会議終了後の会見で述べたもの。
デフレ対策についての初会合となったきょうの諮問会議では、事務方からの説明を受けた後、デフレ対策をどのように進めるかに大半の時間を費やし、方向性を確認した、という。
それによると、(1)デフレ克服には、構造改革をさらに本格的に進め、経済を活性化することが大前提となる、(2)不良債権問題解決の加速、(3)金融システムリスクを軽減する措置、金融不安を起こさない政策、(4)資産市場対策、(5)中小企業に対する措置、(6)金融政策のさらなる活用−−などが必要との方向性を確認した。
具体策については、早急に議論するとしたが、きょうは、方向性の確認にとどまり、具体策の議論まで至らなかった、という。
また、デフレ対策のとりまとめ時期については、「総理の指示を受け、きょうの会議を踏まえて考えていきたい」と述べるにとどまり、17日のブッシュ米大統領来日までに具体策の概要をまとめる可能性についても、「そこまで具体的に考えていない。総理と相談したい」と語った。
竹中経済財政担当相は、デフレ対策について、「株価が下がっているとの現象が目の前にあり、早急に議論する必要性が高まった」と語った。
また、同相は、きょうの諮問会議では、公的資金再注入の議論はしていない、としたうえで、再注入の判断は当局である金融庁が行うもの、との認識を示した。また、「デフレ対策としては、不良債権問題の解決に向けた加速と金融政策のひとつのパッケージとして重要である。資産市場活性化政策なども方向性として重要だが、本質的な問題は不良債権問題と金融政策にある、と思っている」と述べ、「ひとつのパッケージという意味は、不良債権問題の加速によって、金融政策の効果が表れやすくなるということ」と語った。
また、“日銀によるインフレ・ターゲットの導入はデフレ対策として議論にのぼるのか”、との質問に対しては、「速水日銀総裁をメンバーに含めた諮問会議で決めた改革と展望では、2年でデフレからの脱却を目標として掲げているし、2001年3月に日銀はゼロインフレになるまで量的緩和を続けていく、としている」とし、「日本はすでに緩やかな物価目標を持っている」との認識を示した。
また、デフレ対策のなかで金融政策が議論されることは日銀の独立性を侵すことにはならないか、との質問に対しては、「私の解釈としては、政策目標は政府全体で決めるべきだが、具体的な政策の選択は日銀が独立して議論すべきものだ。(日銀に)あれやれこれやれというのは、手段の独立性を損ねる」と述べたうえで、政府全体の目的に向けてさらなる努力を政府・日銀一体となって行うという議論は独立性を損ねるものではない、との認識を示した。
また、竹中経済財政担当相によると、金融政策の在り方についてはいくつかの議論があった、という。
同相は、「金融の信用仲介機能が低下しているなかで、これ以上の金融緩和は無理がある、という話がある一方で、金融緩和は効果がないと言いながら、日銀は金融緩和を続けてきたともいえるので、そこは議論の余地があるのではないか、との意見もあった」と述べた。