日銀はきょう公表した2月日銀金融経済月報において、「景気は今後も悪化を続けるが、輸出や在庫面からの下押し圧力が弱まるにつれて、そのテンポは徐々に和らいでいくと予想される」との認識を示した。
足許の景気について月報は、「引き続き悪化している」とした。前月と表現は異なるが、日銀幹部によると、基調判断は据え置いた、という。
このうち、最終需要面では、「純輸出(実質輸出−実質輸入)は、輸出の減少テンポが緩やかになってきていることを反映して、減少幅は縮小傾向にある。その一方、設備投資の減少が続いているほか、個人消費も弱まっている。また、住宅投資は低調に推移しており、公共投資も減少傾向にある」とした。
さらに、「 このように最終需要は弱い中にあっても、これまでの大幅な減産によって、在庫面では、電子部品をはじめ多くの業種で調整が進んでいる。このため、鉱工業生産の減少幅は縮小してきている」と分析しているが、一方で、「雇用過剰感が強いもとで企業は人件費の削減姿勢を堅持しており、失業の増加が続く中で、冬季賞与もはっきりと減少するなど、家計の雇用・所得環境はむしろ厳しさを増している」とした。
今後の経済情勢については、「輸出環境の面では、世界同時的な情報関連財の在庫調整は一巡しつつあり、これを受けて、東アジア諸国の輸出や生産には下げ止まりの兆しがみられる。また、為替もこのところ円安となっている。こうしたもとで、輸出は年央にかけて下げ止まりから回復に転じていくと予想される」とした。他方、「当面、海外景気の回復は鈍く、情報関連財の最終需要も低調なもとで、輸出の回復テンポは緩やかなものにとどまる公算が大きい。なお、米国経済については、底入れを示唆する指標が増えているとはいえ、依然不確実な要素が多く、こうした点を含め海外景気の動向については引き続き注意が必要である」と慎重な見方を示した。