日銀の速水優総裁は12日の衆院予算委員会に参考人として出席し、「デフレ脱却の決意は政府と日銀で共有されている」と述べ、物価下落に歯止めをかけるために政府と協調していく考えを強調した。そのうえでデフレ阻止に向けた構造改革の重要性を指摘。具体的な取り組みを加速させていくことが重要との見方を示した。北側一雄氏(公明)への答弁。
速水総裁は、昨年3月にすでに金融の量的緩和策に踏み切るなど日銀は前例のない金融緩和を実施していると説明。「今後とも粘り強い資金供給を続けて金融市場の安定と緩和効果の浸透に努めていく」と語った。
金融システムが不安定になるような場合には「政府と協力しつつ、中央銀行として断固たる対応を講じていきたい」と述べ、政府と足並みをそろえて対策を進めていく考えを示した。
北側氏が、デフレ経済下では実質ベースで金利が上昇することになり、債務者の負担が増加すると指摘したことに対しては「債権者は逆で、債務者は企業と政府だが、家計は債権者」と反論。「家計は1400兆円あり、その購買力が落ちるようなことがあれば彼らも怒る。我々も独立性をもって間違いがないようにその都度判断していきたい」などと語った。
北側氏は、日銀による長期国債の買い入れ増額や、中期展望で盛り込んだ2004年度の名目・実質GDPの目標値が物価安定目標に当たるかどうかについても質問。速水総裁はデフレ脱却に向け、日銀と政府の間に見解の違いはないことを強調する一方で、こうした質問への具体的な回答は避けた。