外債や仕組み債などリスクの高い有価証券への投資が原因で経営破たんする信用金庫・信用組合が増えている。企業の資金需要が低迷し、無理な運用に走ったためだ。健全性の目安となる自己資本比率は十分に高い例が多く、情報開示の面で課題を残している。
「ハイリスクなのはわかっていたのだが……」。1月25日、石川たばこ信用組合の塩田外司彰理事長は破たん認定直後の記者会見でこう釈明した。
同信組はたばこ、塩事業の関係者を組合員とする職域信組で、2001年3月末の自己資本比率は18.62%。国内だけで業務をする金融機関の健全性の基準となる4%を大幅に上回り経営は堅実にみえた。
しかし、同信組は「バブル崩壊後に貸し出しが伸び悩み、有価証券の運用に頼らざるを得なかった」(塩田理事長)。保有有価証券の約6割を外国債に配分。アルゼンチン国債の下落に加え、国内の株価低迷も響き債務超過に転落した。同信組は特殊な事例ではない。金融庁によると、今年度に破たんした約50の信金・信組のうち、1割強はアルゼンチン債投資が主因となって破たんした。