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国民の財産を守らない国日本 18日 日本経済新聞朝刊19ページ

投稿者 ファイナンシャル・ディテクター 日時 2002 年 1 月 18 日 19:46:56:

教科書によれば、国民の財産と安全を守ることが国家の役割のはずだが、日本にはそういうポリシーが欠けているようだ。ペイオフ論争を見ていても、それは明らか。ペイオフ解禁派と延期派が対立しているが、国民の財産を守るという点からは双方とも間違っている。解禁派は、「間題銀行のモラルハザード(倫理の欠如)を阻止するためには、預金者が犠牲になろうとも解禁する」という"恐ろしい"論理を振りかざす。延期派は、「問題銀行のモラルハザードを招こうとも、預金者を保護する」というスタンスで税金垂れ流しの泥沼化を予感させる。優等生的には、「三月末までに金融機関の破たんを心配しなくてよい金融システムを構築する」と答えなければならないのだが、どうもそういう風向きではなさそうだ。金融庁による「問題ない」という公式見解は、狂牛病を巡る官僚発言に似た響きを持つようになってきた。そもそも、この時点でペイオフ延期派が少なからず存在していること自体、金融庁の敗北を物語っている。国民は、金融庁が財産と安全を守ってくれるのか、疑間に思い始めた。現況は、北海道拓殖銀行と山一証券が破たんした1997年11月よりもひどいと言わざるを得ない。元本割れしたMMFが一カ月で九割解約されるなど国民の動揺北も小さくない。郵便貯金も、公社化の際は過小資本で、いわば氷の海に放り出すらしい。三百兆円の資産に対し資本が二兆円では、金利が少しでも上昇したら債務超過。庶民のセーフティーネットはどこにあるのだろう。危ないのは預貯金だけではない。基金が少なくなった損害保険契約者保護機構では、昨年十一月に破たんした大成火災海上保険に対する支払いを巡って民間同士の議論がまとまっていないという。生命保険でむ同様のことが起きかねない。年配者と話をしていると、戦時国債が紙切れになり、新円切り換えで財産を没収された経験があるためか、「預金封鎖に気をつけなさい」などと忠告されたりもする。国が個人に国債を勧め始めると、危険信号がともるのだとか。「預金封鎖はない」と断言しながら、一週間もたたずに実行したアルゼンチンの二の舞いだけは経験したくない。国が守ってくれないのなら、自分で守るしかない。それが厳しい現実だ。(祥)




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