政府は十日、デフレ対策について、不良債権問題の早期決着と日銀への一層の金融緩和要請など四項目を中心にした総合的な内容とする方針を固めた。
九日閉幕した先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の結果も踏まえ、十二日の経済財政諮問会議で対策の方向性を確認、週内をめどに概要を取りまとめる方向で調整する。
焦点の不良債権処理は、借り手である過剰債務企業の存続の可能性を早期に金融機関に判断させた上で、資本不足となる銀行への公的資金の再注入を検討する案が浮上している。
政府は十七日に来日するブッシュ米大統領に対策を説明し、デフレ克服と経済再生に向けた日本の取り組みに理解を得る考えだ。
対策には銀行等保有株式取得機構の活用や株式の空売り規制強化による市場活性化と、中小企業の資金繰り支援を中心にしたセーフティーネット(安全網)の強化も盛り込む方針。
竹中平蔵経済財政担当相は十日の民放番組で、総合的なデフレ対策とするよう小泉純一郎首相から指示を受けたことを明らかにした上で、公的資金の再注入は「(不良債権処理の結果)必要があれば入れるに決まっている」と指摘。「(過剰債務企業が)存続可能かどうか早く決着できる体制にもっていく」と述べ、銀行による迅速な最終処理を促す仕組みを対策に盛り込む考えを示した。
ただ公的資金の再注入については、金融庁が消極姿勢を崩しておらず調整は難航しそうだ。
日銀の追加緩和では、金融市場への資金供給円滑化のため、中長期国債の買い入れを増やすべきだとの意見が政府内にある。これに対し日銀は、政府による不良債権処理の強化が先決としており、具体策決定には曲折が予想される。
中小企業の資金繰り支援は政府系金融機関の活用をはじめ、特別保証など信用保証制度の拡充・強化を検討する。