金融庁は金融危機を未然に防ぐため、日本銀行に無担保の金融機関向け特別融資(日銀特融)を柔軟に発動するよう要請した。現在は特融の対象を経営破たんした金融機関に事実上限っているが、健全な金融機関の一時的な資金繰り危機にも発動するよう促す。日銀は特融に政府保証をつけることや金融機関への公的資金の再注入が前提条件になると主張している。
金融庁が日銀特融の機動的な発動を求めるのは、一部金融機関の資金繰り危機が他の金融機関に波及して信用不安につながるのを防ぐのが狙い。4月のペイオフ(定期預金などの払い戻し保証を元本1000万円とその利息までとする措置)凍結解除後に実施可能にするため、日銀と近く協議を開始。2月中の決着を目指している。
日銀特融は日銀法に基づき信用秩序の維持に必要と判断した場合に実施する。日銀は発動条件として(1)信用秩序に大きな支障が生じるおそれがある(2)資金供給が必要不可欠である(3)特融を実施した金融機関の経営者など関係者の責任を追及して倫理の欠如を防ぐ(4)日銀の財務の健全性を維持できる――の4原則がある。