生保大手の朝日生命保険は9日、企業向けの団体年金保険や団体保険部門を大幅に縮小する方針を固めた。収益性の高い個人向けの保険・年金部門に人員を集め、経営効率を高めるため。02年度に実施に移す。企業向けの年金と保険は新規契約を抑制する一方、契約済みの分は、これまで通りの取り扱いとする見込み。
企業向け分野は運用環境の悪化で生保各社とも利益が出にくくなっているうえ、朝日生命は格付け低下もあって苦戦を強いられている。新規の団体年金は、系列の投資顧問会社での引き受けも進める。保障の総額である保有残高は、01年9月末時点で個人向けが82兆8364億円に対し、企業向けが25兆3650億円となっている。
朝日生命は体質強化に向け、持ち合い株式など価格変動リスクの大きい資産の圧縮を進めているほか、本店ビルを含む不動産の売却などを計画中。また、内勤職員の1千人削減などにより、年間事業費を200億円削減するリストラ策を実施中だ。さらに、東京海上火災保険との早期統合構想が1月に撤回されたのをうけ、リストラの前倒しや強化も計画しており、団体部門縮小もその一環とみられる。
すでに、事業費削減に150億円を上積みし、04年度には計350億円とする方針を発表。保険の通信販売を凍結し、営業拠点100カ所以上の統廃合を進める計画を明らかにしている。(