ブエノスアイレス8日=窪田淳】アルゼンチン中央銀行のマリオ・ブレヘル総裁(53)は日本経済新聞記者と会見し、物価を抑制するために「インフレ目標」を来年から導入する計画を表明した。為替の変動相場制への移行後、高インフレが発生するとの懸念に対応する。
経済危機に陥っている同国は1月、通貨ペソをドルに1対1で固定したうえ、現金流通量などを外貨準備高の範囲内に抑えるそれまでの通貨制度を約10年ぶりに改正。1ドル=1.4ペソの公定固定相場制と変動制の二重為替制度を経て、11日からは変動制に一本化することを決めている。
総裁はこの制度改革により中銀が通貨発行などの金融政策の運営で独立性を確保できたと指摘。「今年のインフレ予測値である15%は経済財政省が算出したが、今後は中銀がインフレ目標として設定する。来年は1ケタ台に収める」との見通しを明らかにした。