米国が1933年に鋳造しながら流通前に回収された幻の20ドル金貨「ダブル・イーグル」1枚が今年7月30日に、ニューヨークの競売大手サザビーズでせりに出されることになった。同社によると、400万ドル(約5億4000万円)−600万ドルという巨額の落札価格を見込んでいる。
33年ダブル・イーグル金貨は、当時のルーズベルト大統領が金本位制を廃止したのに伴い、流通直前に回収され、スミソニアン博物館に寄贈された2枚を除いてすべて溶解されたといわれていた。
しかし、収集家として知られたファルーク・エジプト国王のコレクションに入っていた1枚が54年、突然カイロの競売に出現。世界のコイン収集家に衝撃を与えた。
今回、せりにかけられるのはこの1枚。54年の競売は米財務省の要請で取り下げられ、その後、半世紀にわたって行方がわからなかったが、米政府が回収し競売に踏み切ったという。
ダブル・イーグル金貨は、ゴールドラッシュ時代の1850年に初めて鋳造された米国史を象徴する貨幣。米国貨幣のこれまでの最高競売価格は1804年の銀貨が440万ドルだが、これを上回るのは必至。(ニューヨーク8日=共同)