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日銀月報:8カ月ぶりに判断据え置き、「円安は輸出、物価下支え」 東京 1月17日(ブルームバーグ)

投稿者 sanetomi 日時 2002 年 1 月 17 日 17:20:29:

   日本銀行は17日、1月の金融経済月報を公表し、「景気は、輸出や設備投資の減少に加えて個人消費も弱まるなど、広範に悪化している」として、情勢判断を8カ月ぶりに据え置いた。先行きの輸出環境については「円安も輸出の下支えに寄与するとみられる」と指摘。物価をめぐる環境も「最近の円安は先行き物価の下支え要因として働くと考えられる」とするなど、足元の為替円安を前向きに評価した。

  足元の各論で変化があったのは、在庫・鉱工業生産。「鉱工業生産は大幅な減少が続いている」との判断は変えなかったが、「電子部品をはじめ多くの業種で調整が進みつつあるが、素材を中心に在庫過剰感はなお強い状況にある」として、前月の「最終需要の動向に加え、素材を中心に在庫過剰感がなお強いこともあって」から、在庫調整の進ちょくにウエートを置く表現に切り替えた。

  このほかは大きな変化はなく、純輸出について「減少基調を続けており」として、「基調」を加えたほかは、個人消費は「弱まってきている」、住宅投資は「低調に推移しており」、公共投資は「減少傾向にある」、設備投資は「減少している」と、いずれも前月から判断を据え置いた。

    「為替円安も輸出の下支えに寄与するとみられる」

  今後の経済情勢についても、在庫調整の評価で前進があった。輸出環境の面で「情報関連財の最終需要は依然低調ながら、世界同時的な情報関連財の在庫調整は今春辺りにも概ね一巡するとの見方が強まっている」と指摘。前月の「情報関連財の最終需要は依然として低調に推移しているだけに、同分野での輸出の目立った回復は、当面期待し難い」という部分が削除された。さらに、「為替円安も輸出の下支えに寄与するとみられる」として、円安を評価する記述が新たに加わった。

  一方、「輸出環境の不透明感が強く、国内民需が全般に弱まっていく中で、政府支出も基調的には減少傾向を続けることが見込まれている。このため、情報関連財等での在庫調整進ちょくに伴って、鉱工業生産の減少テンポは幾分緩まるとしても、経済全体の活動水準が下げ止まるまでには、かなりの時間を要すると考えられる」との判断は変えなかった。

  先行きの総合的な情勢判断も「わが国の景気が、今後悪化を続けることは避けられないと考えられる。そうした中で、内外の金融・資本市場の動きが実体経済に悪影響を及ぼすリスクにも、引き続き留意が必要である」との見方を据え置いた。

      「円安は先行き物価の下支え要因として働く」

  物価についても、円安を評価する記述が増えた。まず、輸入物価は「国際商品市況の下げ止まりや為替円安を背景に、上昇に転じている」と指摘。そのうえで、卸売物価は「電子部品等に下げ止まりの動きもみられるが、全体では機械類や化学製品等を中心に下落が続いている」として、前月の「下落幅が拡大している」から小幅修正した。消費者物価は「輸入製品やその競合品の価格低下などを背景に、弱含んでいる」として、前月の「価格低下などを主因に」から書き換えた。

  物価をめぐる環境についても、「既往の原油価格下落の影響が当面続く一方、最近の円安は先行き物価の下支え要因として働くと考えられる」として、円安が物価に与える影響を評価した。ただ、「景気が悪化を続けるもとで、国内需給バランス面から、物価に対する低下圧力が徐々に強まっていくとみられる」との判断は変わらず。

  「総じてみれば、当面、物価は緩やかな下落傾向をたどるものと考えられる。また、今後の景気動向には不透明な要素が多いだけに、需要の弱さに起因する物価低下圧力がさらに強まる可能性にも留意が必要である」という総合判断も据え置かれた。

     金融機関の貸出態度「徐々に厳しさを増している」

  金融面については、「ターム物金利は、追加的金融緩和措置を受けて、総じてみれば低下している」として、12月の金融緩和を評価した。しかし、国債と民間債(金融債、社債)の流通利回りスプレッドは「高格付債が横ばい圏内で推移している」一方、低格付債では「拡大傾向にある」として、前月の「やや拡大する動きが続いている」から、情勢は変わっていないとの認識を示した。

  企業からみた金融機関の貸出態度については「徐々に厳しさを増している」と指摘。前月の「慎重化している」から判断を引き下げた。社債、CPなど市場を通じた企業の資金調達環境も「高格付け企業では、CPの発行金利が幾分低下するなど、概ね良好な地合いが続いている」一方、低格付け企業の発行環境は「総じて悪化傾向にある」として、前月の「悪化している」から概ね判断を据え置いた。

  金融面の総合判断も「金融市場の状況や金利水準を総じてみれば、きわめて緩和的な状況が続いている」としながらも、「企業破綻の増加などを背景に、民間銀行や投資家の信用リスク・テイク姿勢はさらに慎重化しており、信用力の低い企業、とりわけ中小企業では資金調達環境が厳しくなる方向にある」、「今後の金融機関行動や企業金融の動向には、十分注意していく必要がある」として、前月の判断を維持した。





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