投資信託からの資金流出が発生する一方、その資金が預金や外債などへ振り向けられた可能性が高いことが分かった。きょう日銀が発表した今年1月のマネーサプライ(速報値)によると、現・預金と準通貨、CDを合わせた「M2+CD」の伸びは前年比+3.6%と、99年10月以来の高い伸びとなったが、投信の平均残高は32兆5968億円と、前年比−20.2%で、その対比が数字で裏付けられた。日銀は、投信から流出した資金がM2+CDに入ってきた可能性を指摘している。
日銀の調査統計局は、「今回の1月の統計では(投信や郵便貯金、外債などを含む)広義流動性の全体の伸びが+2.7%と、前月と同じだったにもかかわらず、投信の平均残高の減りかたは−20%と大きかった」と指摘。もっとも、「今のような低金利下では、流動性の高いM1(現金・預金通貨)におカネが流れる傾向はある」としながらも、「投信から流出したものがM2+CDに入ってきて、M2+CDを押し上げるひとつの要因になっている可能性がある」と分析している。
株式相場の低迷や、昨年11月に発生したマネー・マネジメント・ファンド(MMF)の元本割れを背景に、投信の平均残高は減りつづけている。マネーサプライが反映する平均残高の数字は、投信元本残高から金融機関の保有分を除き、個人投資家や地方自治体などが購入する部分を集計したものだが、同統計によれば、昨年1月から9月まで、40兆〜45兆円台で推移してきた投信の平均残高は、12月に40兆円台を割り込み、きょう発表の今年1月の数字(32兆5968億円)は、98年4月以来の低水準となった。
その一方、外債はこのところの円安トレンドもあり、1月の残高は前年比+25.5%(約38兆7000億円)となった。昨年8月以降、2ケタ台の伸びを続けている。
普通預金や当座預金を含む預金の残高は、96年6月以来の高い伸びである+18.4%、また、現金の残高は昨年8月以来の高い伸びである+8.4%となった。これらの伸びが後押しし、預金、現金を合わせた「M1」の伸び率は前年比+16.0%と、96年6月以来の高い伸びを示した。
MMFから出た資金は、他の短期公社債投信にも目立って流入していないもようだ。ロイター通信が今月1日に実施した運用会社への聞き取り調査とホームページなどの開示情報によると、今年1月末時点のMMFの純資産残高は、前月比約4700億円減の
7兆2500億円程度となったもよう。しかし、マネー・リザーブ・ファンド(MRF)の純資産残高は2兆6100億円程度と、同900億円程度の増加にとどまり、中国ファンドの残高は約5兆3800億円と、同1100億円程度減っているもよう。
「MMFの解約後は資金が一時的にMRFに滞留する可能性がある」(複数の証券会社)と予想されていたが、投資信託協会によると、MRFの純資産残高は、昨年9月から12月まで、2兆5000億〜7000億円にとどまっており、MMFの解約が膨らんだ年末にも、目立った残高の増加はみられなかった。