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「日本は１９３０年代の大恐慌期の米国に匹敵する完全な危機に陥った」−。米経済誌フォーブス（グローバル版）２月１８日付の最新号に衝撃的な特集記事が掲載された。デフレや不良債権処理、株などトリプル安の金融不安…。経済オンチ・小泉純一郎首相の無策ぶりも痛烈に批判、「時間切れの日本経済の危機が世界を不況に導く恐れもある」と大警告する。日本はそんなに危ないのか？ ブッシュ米大統領の来日も控え、特集記事が出た背景にどんな事情があるのか。
「タイムズ・アップ、ジャパン（時間切れの日本）」。特集記事はショッキングなタイトルで始まる。
まず、日本経済の現状について「１２年間の不振を経て完全な危機に陥っている。さまざまな経済指標からみて、１９３０年代の大恐慌時代の米国に似ている」と一刀両断している。
「腐敗した銀行のシステム」などによる巨大な不良債権は日本独自の問題で、ロシアやアルゼンチン、タイなど過去に経済危機を迎えた国々よりも悪い状態かもしれないと指摘する。
過剰債務について、家計や企業、政府部門の負債総額は国内総生産（ＧＤＰ）の６倍３０兆ドル（約４０００兆円）にも達するという米投資銀行ゴールドマン・サックスの試算を紹介する。
「毎月、毎年悪化し、年率４％に達しようとしている」デフレの問題も取り上げ、欧米にも波及する恐れがあると警告する。
最大の債権国でもある日本の銀行が一斉に海外から資金を回収することがあれば、米国と世界への影響が波及すると論じている。
記事には日本人の識者も登場し、前経企庁長官の堺屋太一氏が「日本がもう一つのアルゼンチンとなることを非常に恐れている」と懸念を表明している。
日本はロシア型の経済危機に直面しているのかと尋ねられ、トヨタ名誉会長の豊田章一郎氏は「すでにその途上にある」と述べたうえで、日本のリーダーがそれに気付いていないことに不満を漏らしたという。
当の小泉首相については「就任から９カ月たったが、美辞麗句以上のことはほとんどやっていない」とケチョンケチョンだ。
記事全体を通じ、日本にかなり厳しい内容となっているが、果たしてどこまで現実味のある話なのか。
米国経済に詳しい住信基礎研究所主席研究員の伊藤洋一氏は、記事の背景についてこう解説する。
「ジャパン・アズ・ナンバーワンといわれていた１９８０年代の裏返しで、米国が日本経済を真剣に心配し始めていることは確か。ふだんは企業記事が多いフォーブスが日本のマクロ経済を取り上げたことで、特に注目されたのだろう」
そのうえで、「内容は当たっていないこともないが、日本は経常収支の黒字もあるので、大恐慌期の米国並みというのはちょっと言い過ぎだ。危機を避ける方法はあるので、あまり自意識過剰にならないほうが良い」と指摘する。
ＵＢＳウォーバーグ証券チーフエコノミストの白川浩道氏も「金を借りている米国が債権国・日本の不良債権問題をとやかく言うのも勝手という気がする。結局は不良債権処理でつぶれた小売業やサービス業などを買い叩いて日本のマーケットに食い込みたいという狙いがある」。衣の下には鎧（よろい）が見え隠れしているというわけだ。
とはいえ、先日の世界経済フォーラム年次総会（ダボス会議）でも、「小泉政権誕生後、金融システムがさらに脆弱（ぜいじゃく）になっている」（リップルウッドのコリンズＣＥＯ）。
「世界経済のリスクとして日本経済への懸念は大きい」（クルーグマン・プリンストン大学教授）と、いずれも日本経済がヤリ玉に上がっている。
７日にもオニール米財務長官が「日本経済は米国の景気回復を当てにしてはいけない。世界経済のエンジン役となるべく必要な措置を取ることを心待ちにしている」と注文をつけた。
小泉首相の公約である不良債権の早期処理が遅々として進まず、大手銀行の体力低下などを背景にして、円や株などのトリプル安の基調が続くなど、市場も赤信号を点灯している。
フォーブス誌の記事では、「唯一の望みは、（１７日に来日する）ブッシュ大統領が日本のリーダーたちの心を（経済の危機的状況に）集中させてくれることだけだ」との一文で締めくくられている。
日本人にとっては不愉快な話だが、最後にものをいうのは外圧しかない、ということなのか。
前出の白川氏はブッシュ大統領の動向について「厳しく言わないと何もやらない日本への我慢も限界に来ているが、米中枢テロの影響で日本へプレッシャーをかける時期が先送りされたという自国の事情もある。表向きは厳しい注文をつけても、３月決算までに不良債権処理を大きく進めることは無理なので、９月の上期決算まで待つことになるのでは」と予測する。
時間がたてばたつほど、日本に向けられた目が厳しさを増すことは確実。一刻も早く小泉内閣がまともな経済政策を断行してくれないと困るのだが…。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。