内閣府は6日、深刻化する戦後初のデフレに総合的に対処するための方策の検討に着手した。株価下落が止まらず、金融システム危機の再燃や景気底割れの懸念が出ているためで、不良債権処理と金融の一段の緩和を軸に、減税のほか雇用や中小企業向けのセーフティーネット(安全網)強化などの財政出動も検討する。市場動向や今週末の主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)や、その後のブッシュ米大統領訪日などの日程をにらみながら、実施内容や時期を決めたい考えだ。
バブル崩壊後最安値を連日更新する株価下落で銀行経営が一層圧迫されているほか、景気底割れの懸念も高まり、長期のデフレは不良債権処理を困難にしている。小泉純一郎首相は4日の施政方針演説でデフレ克服と金融危機の阻止を宣言。河出英治内閣府審議官は6日、記者団に「市場に追い込まれてからではなく、市場が評価するタイミングで実施すべきだ」と述べた。
総合的なデフレ対策では、公的資金投入を含めた不良債権問題の抜本解決のための金融システム安定化策を検討。経済財政諮問会議が「デフレは日本経済にマイナス」とする報告書を12日にまとめることを踏まえ、日銀に対して金融政策の一段の緩和を求める方針だ。具体的にはインフレ目標策の設定や、社債や株式投信などの買いオペなど従来の金融政策から踏み込んだ内容を念頭に置いている。
一時的な減税など財政政策の発動も視野に入れ、一段の雇用対策や、金融の機能不全に対応するための中小企業金融の強化も浮上している。
ただ、具体策の一部については、金融庁や日銀内部に慎重論もあり、これらすべてが盛り込まれるかどうかは流動的な要素もある。 【白戸秀和】