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「本当に4200億円の金融支援だけで、ダイエーは間違いなく立ち直るのだろうか」
このコメントは他でもない、ダイエーの主取引銀行役員の口から発せられたものだ。
1月18日夕刻、ダイエーが同社の経営再建計画となる“新3カ年計画”の発表に踏み切る。
週内決着”にこだわった金融庁サイドからの強いプレッシャーもあって、ダイエーの主取引銀行団(UFJ銀行、富士銀行、三井住友銀行)は、まさに“見切り発車”とも言うべき形で一連の金融支援策をとりまとめたというのが実情だ。
この“金融支援策”は、大きく2つの柱からなっている。
(1)主取引銀行団が保有する1200億円の優先株をすべて減資する
(2)ダイエーグループが抱える有利子負債2兆3000億円のうち約3000億円分を株式に転換する(デット・エクイティ・スワップ)−というのがそれで、結果ダイエーは、前述の3行からトータルで4200億円の金融支援を受けることになる。
そもそもダイエーが抱える有利子負債は、今期末(2002年2月末)で総額2兆2400億円(連結ベース)となる見込みだった。
その一方で、ダイエーにとって有利子負債の返済原資となるキャッシュフローは、年間で830億円程度にすぎないのが実情なのだ。
「もっともこの830億円のうち、約400〜500億円は、施設、事業維持などのランニングコストに消えてしまいますから、借金返済に回せるのは、せいぜい400億円、MAXで430億円といったところでしょう」(ダイエー関係者)
これに対してダイエーの支払い利息は連結ベースで年間500億円規模に達していたのである。つまり、年間のキャッシュフローだけでは利払いすら不可能というのがダイエーの置かれた状況だったのだ。
それでもダイエーが、巨額の利払いを行い、まがりなりにも経営を維持してこられたのは、その保有する資産を積極的に売却してきたからだ。つまりダイエーは、保有資産を切り売りすることで、ようやく命脈を保ってきたというのが実情だ。
そして、こうした経営実態が、マーケットに見透かされ、ダイエーの株価が一時100円を割り込んでしまったのも、当然と言えば当然と言えるだろう。
「そしてそうした状況が、商品納入業者のダイエー離れ、という最悪の事態を招いてしまったのです。ダイエーにとって、巨額の有利子負債を、早急に適正ラインに圧縮することが最優先の経営課題となってしまったのです」(主取引銀行経営中枢幹部)
さて、ここでポイントとなるのは、“適正有利子負債”の規模だ。
ダイエーの高木社長は、「当社の適正有利子負債は連結ベースで9950億円」としており、主取引銀行団も、おおむねこの1兆円弱というラインを適正有利子負債とイメージしている。
前述した4200億円という金融支援の規模は、この“1兆円弱”というラインをベースにしたものだ。 ところがここへ来て、「誰がその“1兆円弱”という水準を適正有利子負債と決めたのだ。ダイエーのキャッシュフローの約10年分というのがその根拠というのだが、あまりにも甘く、そしていいかげんな基準ではないか」とする声が、当の主取引銀行団の中からも飛び出してきているのだ。
「向こう2、3年以内に、ダイエーの経営問題が再浮上してくる可能性が高い。今回の一連の策は、抜本的とはとても言いがたい」(主取引銀行役員)
そうならないことを願うばかりだが、ダイエーの経営動向には引き続き要警戒、と言っておこう。