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クレジットデリバティブ市場では、日本ソブリンのデフォルトスワップのプレミアム(保険料率)が“異常”な水準まで到達してきている。市場では、外相更迭事件をきっかけに小泉首相の支持率が大きく低下、小泉政権が財政規律を維持する姿勢が揺らぐリスクを指摘する声が増えるなか、国債が大幅に売り込まれる動きとなっているが、一部では日本国債のさらなる格下げ観測も浮上。日本のソブリンクレジットに対する警戒感は一段と高まっている。特に、海外勢が主導する形で、円・株・債券の“トリプル安”となる状況のなか、過去に金融危機を経験した98年10月を上回る水準まで、日本ソブリンのデフォルトスワップのプレミアムが上昇してきていることは、海外勢の“日本”離れを示唆するものとして注目されている。
日本ソブリンのデフォルトスワップの市場参加者は、ほぼ100%が海外勢となっており、彼らの日本のソブリンリスクに対する見方をストレートに反映しやすいとされている。市場筋によると、現在、10年物で47−50bp(ドル建て)で推移。昨年11月1日時点では、同プレミアムが、25−28bpであったことからも分かるように、プレミアムが上昇してきているが、驚くべきことはその絶対的な水準だ、との指摘がなされている。
この点について、アール・ピー・テックの信用リスク市場担当ディレクターの河合祐子氏は、「98年10月の時点を越える水準まで上昇してきており、この水準はかなり“異常”といえるだろう。ヘッジするには既に高すぎる水準で、売買の主体は、日本売りの複合的な要因を背景とした海外投機筋だとみられる」と述べている。
なお、市場筋によると、98年10月の時点での同プレミアムの最高値は44bp付近だったとされており、既に前日の市場で同水準を上回った水準で取引が行われている。
市場関係者の間では、日本の政治・経済見通しに悲観的な見方が高まっているほか、小泉首相が田中真紀子前外相を更迭した後、内閣支持率が急落したことから、小泉内閣が公約として掲げている経済構造改革を実行できるかどうか、疑問視する声が強まっているが、こうした姿勢は特に海外勢のなかで強い、との指摘が多い。
アール・ピー・テックの河合氏は、同プレミアムの絶対的な水準をかなり“異常”と表現するが、「日本と同じようにAA格の国という意味では、イタリアが例にあげられるが、同国のデフォルトスワップのプレミアムは、20bpを切る水準で推移している。格下げのうわさもあるようだが、まだ格下げもされていない時点で、プレミアムが50bpも視野に入るというのは、相当なものだ」という。
なお、日本よりも格付けの低いギリシャ(A格)を例にあげても、同プレミアムは30bp台で推移しているもようで、「今の日本のプレミアムの高さの背景には、先行きの格下げ懸念といった単純なものではなく、日本の構造改革の進展に対する懸念、またその懸念に対して打つ手がないといった、様々な要因が複合的に絡み合ったものがあるだろう。そうでなければ、説明がつかない水準だ」(アール・ピー・テックの河合氏)との指摘がなされている。
ここにきて大幅に値を下げる円債市場からも、「海外勢からみたトリプル安シナリオがまだ残っていることや、小泉内閣の支持率が低下しているような状況で、構造改革の実現性に対する不信感もあり、投資家の押し目買いに力が入らない状況だ」(BNPパリバ証券・チーフストラテジスト 島本幸治氏)との声が聞かれてる。
このところの“トリプル安”は、長期的にポジションテークを行う海外ファンド勢主導との指摘が多いなか、海外勢の“日本”に対するシビアな見方がどのように変化するか占ううえで、すでにかなり“異常”とされる、デフォルトスワップのプレミアムが、どこまで上昇していくか、関心が高い。